第46話

忘れた頃にやってくる
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2019/12/27 09:43
……しまった。

「どこ行った!?」

「あっちかも!行ってみよ!!」

バタバタバタ……といくつもの足音が遠ざかる。

それらが完全に消え去ってから、私はみう、由麻と揃ってため息をついた。

「なかなか諦めてくれないね……」

「マジでしつこい。人数が人数だからすぐ捕まるし」

「……ごめん二人とも」

「全然!」

「いいんだよ!あなたちゃんといたくているんだから!」

そう笑ってくれる二人に、「ありがとう」と言いながら少し微笑み返す。


告白大会直後の、午後。

三上から告白された私は、全学年の三上教信者達に追いかけ回されていた。

今は女テニの部室に隠れている。ここにいればまず見つかることはないが、何時間もここで過ごすわけにはいかない。部室は隠れ場所ではないのだ。

「はぁ……三上の前にこっちがあったとは。失敗した」

「まーどっちみち避けられない運命だったでしょ。てかすごい告白だったねー」

「だね!あんな風に言われるなんて、いいなぁあなたちゃん……!」

「代わる?」

私はマジトーンで言った。由麻は「ん、んー、遼介くんにはいいかな……」と苦笑いしてきた。――ですよね。

「……ん」

足に振動を感じて、スカートのポケットからスマホを取り出す。スマホの使用は校則で禁止されているが、文化祭など、学校行事の際は許可されている。


その画面を見て、私は目を見張った。


「……ごめん二人とも、電話出てくる。戻ってこなかったら二人で回っていいから」

「?ここでしないの?」

「じゃあ」

由麻の問いかけには答えず、部室のドアを開け、外に出てそれを閉める。

未だバイブしているスマホ。画面に表示されているよく知った名前が、私の心の奥から後悔を引っ張り出す。

出よう。早く出ないと、切れる――――。

「いた!!」

誰か女子の大声でハッとして、私はスカートのポケットにスマホを突っ込み走り出した。

体育館近くに位置する女テニ部室から校舎内へ入り、階段を駆け上がる。その途中で、追ってくる足音が多くなっていることに気付いて焦りが増した。

やばい……これは、捕まる……!



無我夢中で角を曲がった瞬間、急に腕を掴まれて体が右へ傾き、そのまま部屋の中へ引っ張り込まれた。

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