週が明け月曜日、通学路で意外な人物と出会った。
「おはよう」
「え……怜?おはよう、だけどこの道使ってたの?」
「いいや。今日だけ。あなたと話がしたくて」
そう言って怜は隣に並んできた。
……話、ねぇ……。
「単刀直入に言うね。遼介と付き合ってないの?」
来ました答えにくい質問。
何と説明すればいいのか、どこから言うべきか。私は思考を巡らせたが、怜の言い方的に私の気持ちわかって言ってるだろうなと思い端的に話した。
「中学生の時にいろいろあって、そのことを引きずってたから一昨日解決してきたの。他県まで行かないといけなかったからすぐに返事できなくて……なのに部活で三上と毎日会うという。先週はとても気まずい日々でしたよ」
「そっか。まぁオレはあなたが部活休まなかった理由わかるけどね」
怜が少し得意げな顔をする。見透かされたことが悔しくて、私は意味もなく尋ねた。
「そう言う怜は何かなかったの?文化祭」
「……何も。女子達の対応で手一杯だったから」
「ごめん」
「あ、……違うよ。その、気にしないで」
珍しく狼狽える怜。
どうしたんだろう。気になるけど、検索しない方が良さそうだな。
私は適当に話題を変えて、怜と雑談しながら通学路を歩いた。
いよいよ聖蘭高校に辿り着いた。
――勝負は放課後、部活終わり。
「頑張ってね」
「うん。ありがとう」
下駄箱で怜と別れ、私は教室へと向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!