第51話

再会
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2019/12/27 09:49
一週間が経った。

土曜日、私は白い箱を左手に下げて、ある家の玄関の前に立った。

大きく息を吐き出す。そうして不安な心を落ち着かせ、私はインターホンを押した。

ごく一般的なその音が響くと、奥から足音が近付いてきて扉が開き、家のぬしが姿を現した。

「いらっしゃい。久しぶりだね――あなたちゃん」

「……久しぶり。梨沙」

あの頃と同じように優しく笑いかけられ、私も少し遅れて笑いかけた。



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招き入れられた綺麗なリビングで、梨沙に白い箱を手渡した。

「わ、ケーキ?ありがとー、嬉しい!しかも私の好きなモンブランだー」

「……梨沙」

「なに?」


「ごめん」


私は深く頭を下げた。

「私がちゃんと止めてたら……梨沙、学校やめなくて済んだかもしれないのに」

あいつに、将来を奪われなかったかもしれないのに――。

「……なんであなたちゃんが謝るの?」

不思議そうな梨沙の声。

ゆっくり顔を上げる。梨沙は声色通り、本当に理由がわからないというような表情をしていた。

「わたし、あれがあなたちゃんのせいだなんて思ってないよ?全部わたしが馬鹿だっただけだもん」

「……でも」

「あー!」

舌っ足らずな声と共に、たしっ、と腕を小さなものに叩かれた。

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