第57話

噛み合わず。
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2019/12/27 10:36
……長い長い沈黙。

ついに気まずさが限界を迎えて私は口を開いた。

「何か言ってよ」

「っ!あ、あぁ、悪い、……本当、だよな」

「はぁ?」

この状況で嘘告するわけないじゃん。

若干の苛立ちを含んだ呆れ声を出すと、三上は見るからに焦った。

「いや、わかってる!お前がこういう場面で嘘を言うような奴じゃねぇって!」

「だったらなんで確認……」

「でも。……信じられなくて。好きな奴が、同じ気持ちを持ってくれてるとか……あーさっきの録音しとけばよかった」

「…………」

「冗談だよ、その目やめろ!」

本当に冗談だったかどうか怪しかったが、三上が割と必死なので私は冷たい眼差しをやめて息を吐いた。

「で、どうなの?付き合うの?」

「……そりゃ、そうだろ。好き合ってんだし」

「よね」

ほっとして頬が緩む。

しかしすぐに引き締めて、壁掛け時計を見た後、普段と変わらないトーンで言った。

「じゃあ部活行くよ。開始5分前になってる」

「マジか!?やべぇ急がねぇと……!」

三上がバッと立ち上がって私の横のドアへ駆けてくる。

ドアノブに手をかけて、出るかと思ったら、不意に三上は私を振り向いた。



「これから恋人としてよろしくな。あなた」



少し照れながら優しく笑う。


私は、別の場所を見ながら答えた。


「よろしく。三上」

「そこは遼介だろ!!」

いきなり三上が声を張り上げてツッコんできた。

何やら期待を裏切られたような表情をしているが、全く身に覚えがない。

「は?知らないし、別にわざわざ名前呼びに変える必要ないじゃん」

意味がわからず尋ねると、三上は肩を落として部室の外へ出ていった。


私、なんか悪かった?

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