第54話

早い
6,027
2019/12/27 10:31
返事のことばかり考えていたら、時間があっという間に経っていき。

気付けば、放課後だった。


……こわ。


「あなたちゃん、大丈夫?悩みごとあるなら聞くよ?」

テニスコートへと向かう道中、由麻が私の顔色を見ながら気遣うように言った。

「大丈夫。ちょっとね」

「あーやしー」

みうがニヤつくのをスルーして由麻へ話しかける。

今朝の怜を思い出しながら。

「ねぇ由麻、もしかして文化祭で進展あったんじゃないの?好きな人と」

「えっ!?なになにそうなの!?なんであなたは知ってんの!?」

「みう、うるさい」

「……進展しなかったよ。何も、できなかった」

哀しそうに目を伏せて、由麻は独り言のように呟いた。

私達に言ったというより、自分自身に「何もできなかった」事実を突きつけるような言い方だった。

……文化祭で、怜と由麻の間に何があったの……?

「それよりあなたちゃんだよ!いつ返事するの?遼介くんの告白に!」

「それな!もう一週間でしょ?いつまで待たせるの?」

えっ、ちょっと話の逸らし方……!みうは切り替え早いしやめてください……。

口を閉ざしていれば――――沈黙が続いた。

こいつら、私が答えるまで喋らないつもりか。


……仕方ないなもう。


「今日。返事する」

言った直後、私は両耳を塞いだ。



「…………今日!?!?」



驚愕の声が左から二重になって響いてきて、私は眉間に皺を寄せた。

……予想以上の声量。耳を塞いでもなお聞こえてくるとは。


ため息をつきかけた時、右肩が誰かとぶつかった。

「あ、すみません」

「悪い……」

相手を見て、私は固まってしまった。


――三上だったからだ。

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