第48話

わからない
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2019/12/27 09:46
「…………」

カタツムリもびっくりの遅さで物音のした方へ顔を向ける。

そして目に飛び込んでくる、見覚えのある後ろ姿。

「…………」

三上が、静かに手で顔を覆った。

あ、これ全部聞かれてたやつ……。



「れええいい!?」

「そんなに怒らないであなた」

「えっ普通に怒るよ、怜だから言ったのにこんなのないマジで」

早口でまくし立てれば「あはは」と笑う怜。

あの、本当笑いごとじゃないんですけど。“惹かれるところはある”とか言っちゃったんですけど私。聞かれちゃったんですけど本人に。

「……迫田」

ドキッと心臓が跳ねる。

視線をやると、少し顔の赤い三上と目が合った。

「話がしたい。嫌なら逃げろ」

――逃げろ?うん、逃げたいな。


でもさ、今逃げて外に出ても敵しかいないんだよね。


四面楚歌ってこういうことを言うの?

「じゃあオレは出るよ。ついでに女子達の気引いとく」

「頼む」

「うん」

私が口を挟む間もなく会話が行われ、怜は会議室から廊下へ出た。

……もう、どうでもよくなってきた。

「話って何?三上」

全部聞いてやるよ……どうせ私の本音バレてるし逃げられないし。

げんなりした気持ちをどうにか表に出さないようにして、私は尋ねた。

「……そっち行くぞ」

三上が立ち上がり、歩み寄ってきた。対話にちょうどいい距離で止まると床に座り込む。

来てどうするんだろう……まぁいいけど。

「まず確認する。さっきお前が怜に言ってたことは本当か?」

早く話を終わらせたかったため、私はテキパキと答えることにした。

「そうだよ」

「俺のこと、嫌いではないのか?」

「多分ね」

「そうか……そうか、嫌いじゃないのか」

「何……」

何故繰り返したのか聞こうと三上を見て、先の言葉が消えた。

……意味わからない。好きって言ったわけじゃないじゃん。





なんで、そこまで嬉しそうに笑うの。

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