ーー
「無理やりされるのと、素直に受け入れるのと、
どっちがいい?」
「え、」
「抵抗する? それとも……いっしょに楽しむ?」
「……ッッ」
ーー夢じゃない。
これは、現実。
ーー
ある日のことだった。
エレベーターに閉じ込められた。
乗っていたのはわたしと、若い男ふたり。
突然止まったエレベーターは一向に動かない。
「ぅそ……なんで?」
わたしは必死に緊急ボタンを押す。
けれど、うんともすんとも言わない。
辛うじて小さな予備のランプだけが、ボンヤリとエレベーター内を照らしていた。
男ふたりの話し声が聞こえてくる。
「ヤバくねぇか? ここ、明日まで、誰もこねぇぜ?」
「だよな。電波もとどかねぇし……待つしかねぇよ」
彼らの言う通りだった。
朝が来るまで待つしかないのかもしれない。
時刻は深夜一時。
店長に戸締りしておきます、なんて言わなきゃよかった。
わたしは小さく息を吐いた。
「ねぇ、きみ」
「え、」
顔を上げた。
ふたりと目が合う。
「名前教えてよ」
「ぁ、はい。工藤弥生……です」
「何歳?」
「に、二十一……ですけど」
「ふーん」
二人はコソコソとなにか話した。そして、またわたしを見た。
「あのさ、きみさ。可愛いよね」
「は?」
「結構モテたりしない? 男から」
「なにを……」
「無理やりされるのと、素直に受け入れるのと、どっちがいい?」
意味がわからなかった。
「え、」
「抵抗する? それとも……いっしょに楽しむ?」
「……ッッ」
ーー夢じゃない。
これは、現実。
ーー
ーーー
「ン……ッ、や、……ッッ、」
「抵抗したら痛いぜ?」
「……ッ、…………ん」
「そうそう。それでいい。ボタン外すからな……」
「……ッ」
「お、レースの下着。すげぇ……見ろよ」
「ほんとだ。ヤベェ、興奮してきた」
「……ッ、やだ……ッ」
「抵抗すんなって」
やだ。やだ……だれか……。
ーー
居酒屋でバイトを始めたとき、先輩から聞いたことがあった。
「ここのエレベーター乗るとき、気をつけた方がいいよ。遠隔操作できるらしくて、わざと中に閉じこめて変なことするらしいから。だから、一人では乗らないようにね」
ただのうわさ話中だと思っていた。
ーー
「ん、ぁ……ッ……、ん……」
「そっち押さえてろよ」
「おっけー」
座ったままの状態で、両腕の自由を奪われた。ワイシャツのボタンはすべてはずされ、レースのブラが露わになる。
それを男がゆっくりと上げていく。わたしは目をぎゅっと閉じた。
この男たちが、わざとエレベーターを止めた? ビルに誰もいなくなる時間を見計らって? そんな、まさか。
仮にそうだとしても、今のわたしになす術なんてない。
二対一。
しかも、男と女。
勝てるわけないーー
必死に身体をこわばらせる。
ブラがズラされていく。
わたしの胸に視線が集まる。
「ン……ッ」
「すげぇ。細ぇのに胸は結構でかい」
「触らないで……」
「その顔いい。ほら、乳首触るよ、いい?」
「やめ、……ッん、……ッ」
「おお、柔ぇ、めちゃくちゃ柔けぇ」
男がわたしの胸をゆっくりゆっくりと揉んでいる。乳首を摘んだり、全体を包み込むようにして揉んだり、わたしは、されるがままだった。
気持ちいいわけではなかった。それでも、感じてしまうのは、女の本能だろうか。わたしは声を出してしまう。
「や、めて……ッ、ん、……ッ……」
男二人から、胸を執拗に触られる。何度も何度も乳首を摘んだりこねまわすその指はいやらしく、どんなに身体を捻っても付いてくる。
「ぁ、……ッ、……や、……だ、ン……ッ」
「いやらしい声でてるぜ。あーこの胸やべぇ、すげぇ柔らかくて気持ちいい。乳首だけはビンビン」
「ッ、ん……ッ、……ッ」
「ほら、吸ってやるから。ジッとしてろ」
チュウ……ッ
「ふぁ……ッ、ぁ、ぁ、……ッ」
チュウチュウ。
敏感になった乳首を吸い上げられたまらず身体をビクつかせた。知らない男二人から交互に乳首を吸われる。乳首を転がすように舐めたり、強く吸っては優しく噛んだり、その繰り返し。それがたまらなく気持ちよくてわたしは、何度も身体を反らせる。
感じたくないのに、わたしの身体は確実に熱を帯びていった。
「ん、……も、ぅ……やめ、て……ッ」
「そのわりには、反応してるじゃねぇか」
「……ッそんな、こと……ッ……、ぁ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。