第3話

3.
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2017/10/29 12:41

テスト休み。
部活もなくて放課後残って勉強するこの時間がすごく好きだったりする。
「分からないところどこだっけ?」
後ろから聞こえる声は先生。
さっき教えてた子やっと終わったんだ。
「ここ、もう全然分からない、です」
先生と話すとき、敬語かタメ語か分からなくなる。いや、もちろん敬語が普通なんだけど。割と年も近くて、話しやすいからかな。
「ああ、ここは──」
耳で声を拾いながらチラッと顔を見る。
綺麗な二重に高い鼻筋。
ほんとにかっこいいなあ、、
「このノート自分で作ったん?これで授業用プリント作れるわ!すげぇな」
私が1学期の期末テストから作り始めたテスト用ノートを見る先生。
「ふふっ、そうですか?」
褒めてもらえるなんて、頑張ってよかった。
「でもこの前のテスト、世界史のノート作りに時間かけすぎて数学赤点だったんですよ」
「え、数学苦手?教えようか?」
「先生、いろんな人に教えてるから大変じゃないですか?」
「お前なら結果出そうだからいいよ」
なにそれ、嬉しい。
「じゃあ、分からないところ探しとくのでまた明日お願いします」
こうやって、明日も、って予約しておかないと先生なかなかつかまらない。人気だから。
「せんせーい、見てこれー」
後ろの席の麻菜が先生を呼ぶ。
ああ、今日の時間はもう終わりか…。
ノートを片付けて別の教科をしようと思ったけど、あれ?先生私の前から移動しないのかな?さっきから私を挟んで会話してる。
「え!じゃあお菓子欲しい!」
麻菜は今日誕生日で、先生にプレゼントのお菓子をねだってる。いいなあ、私も先生からお菓子欲しいなあ…
「事前に言われてないもんな〜」
そう言って横髪を耳にかける。
それ、すごい好きなやつ。授業中もよくやってるそれ、ほんと好きだ…
時計を見て立ち上がる先生。
もう行っちゃう。
「ありがとーございました」
ああ、他の子みたいに面白いお話できたらな…
「じゃ、頑張って」
ドアの方に歩いていく先生を見送る。






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