それから先生は先生が副顧問の男テニの予定表を持ってきた。見ると今日から年明け10日まで休みになっている。今日は閉庁日って書いてあるけど本当は明日からじゃん。
「どう思う?これ」
「これ、健太郎がつくったんですか?」
健太郎とは男テニの顧問の先生でちょっとオタクで変わっているからか、生徒からは健太郎と呼ばれている。そして、先生が学生のときの後輩らしい。
「そう。俺が出れんかったミーティングでもう部員にも渡してあって」
「休み多すぎません?」
「そう。これはちょっとやばいと思って部長に本当にこれでいいんかって聞いたら練習したいですって言うから年明けのこの日からなら俺見れるよって。この補習の期間だって頭脳トレーニングって...絶対動く気なかったやん?やから俺がトレーニングメニューとか体幹とか考えて。部にコーンだってないし俺が買って」
「先生も大変ですね」
先生が私に愚痴みたいな相談みたいな、そんな話をしてくれるのが嬉しい。いつもは私が相談のってもらってるから、私もなにか先生の力になりたいな。きっと先生に助けてもらってる半分も返せてないけど話聞くくらいなら私にもできるから。他の子たちには話してないようなことも私には話してくれたらいいのに、なんて。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。