「──がこれに繋がるから、続きちょっと調べてみ?」
そう言われてノートを見る私と仕事の資料を開く目の前の先生。
座っててと促されたソファーに座るのはもちろん初めてだし、そもそも私、生徒指導室にお世話になるような悪い生徒じゃないし。きょろきょろあたりを見る私の目の前に座った先生が思わず近くてびっくり。
この沈黙の時間も全然苦痛じゃない。答えがわかってノートから顔をあげた私に気付いた先生も資料から私に目を移す。
「そうやね。それでいいね。それが──」
そこまで言いかけて咳をする先生。声ガラガラで無理させちゃってるな...。“Have a nice day”と書かれたかわいいカップに入ったお茶を飲んで
「さあ、どんどん行こう」
結局そんなふうに言ってくれる先生に甘えてしまう。
1時間弱が経った頃、質問が全部終わった。終わってしまった。もう。部活まであと2時間以上あるなって時計を見る。
「部活何時からなん?」
「午後練のとき曖昧なんですよね...」
「なんなん(笑)おい、部長〜」
そうやっていつものように雑談が始まった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。