(お姉ちゃん…。そいえば確か大学生くらいのお姉ちゃんがいるっていってたっけ。でも、お姉ちゃんがどうしたんだろう?)
聞き覚えのある声に後ろを振り返る。
ラフな格好に、長い髪を頭の上で高くお団子に結んだ女の人があたしに笑いかけている。
(あ、あれ?確かこの人って…)
驚きを隠せないあたしに愛梨さんが笑う。
そこから、しおらしく小さくなる愛梨さん。
そこであたしは一つの疑問にたどり着く。
(あれ…?そういえば愛梨さん、斗真のこと…)
あたしの胸の内にひそめた疑問に答えるかのように玲凪が口を開いた。
黙ったまま、玲凪から愛梨さんに視線を向けると愛梨さんも一度頷く。
愛梨さんの差し出された手がこみ上げてきた涙で滲んで見える。
止まりそうにない涙をこらえることはもうできなくなってあたしは静かに泣いたまま愛梨さんたちと元霊媒師のおばあちゃんを待つため一階へ続く階段を降りた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。