え。
……なんかやだ。
ゆうきを隣に小野寺をみるってなんか
ゆうきを連れてく田中が振り返って
ピースサイン
(気つかってくれたのかな)
とにかく!田中に感謝!
幕がひらく
(あ、小野寺……)
すぐに見つけた。
いつもふざけてる小野寺の真剣な顔。
演奏が始まった。
小野寺の音がきこえてくる。
ルパン三世はまるで、小野寺のはちゃめちゃな世界を
表してるかのようだった。
(あ……)
小野寺の隣にひなかちゃんがいた。
(……そっか。)
ルパン三世のテーマ曲の音が優しくなる。
小野寺のはちゃめちゃな世界にひなかちゃんが現れた。
小野寺はひなかちゃんに恋をした。
いや、しているーーーーーー。
演奏が終わった。
拍手が起こる。
そのとき、小野寺と目が合った。
(……)
小野寺はそのまましばらくみて
笑って、最高の笑顔で
グッドポーズしてきた。
私にしたのかな?
小野寺の口が開いた。
くちぱくで
え。はじめて、私の名前……
涙が滲んできた。
(あー。大好きだなぁ……)
叶わない恋でも。やめられない。抜け出せない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!