職員室のドアを静かに閉じて、
ひんやりとした廊下の空気を吸い込む
『wedded love』(夫婦愛)
この言葉は私の心に
深い傷を付けた
はぁ、なんで好きになっちゃったの?
ふらふらと廊下を歩いていると
花織が話しかけてきた
白石花織は今年になって仲良くなった
家庭科部の子だ
花織「ねぇねぇっ!あなたさ、迅くんのことどう思う!?」
あなた「……えっ?」
花織のテンションとの差に
多少思うところもあったが
会話を続ける
あなた「迅くんって秦本くんのこと?」
花織「そそっ!ねぇっ!かわいいと思わないっ!?」
あなた「……えっと、話したこと、ないからわかんないっ……かな」
秦本 迅、クラスでは
イケメンに入るかもしれない
花織「ん~っ、あぁ、まぁいいやっ!それでねっ、迅ちゃんがねあなたのことが好きっぽい?らしくてぇ」
あなた「……ほんとに言ってる?」
確かに一学期から
視線には気づいていた
でもそれを信じたくなくて……
花織「まぁ、迅ちゃんのこと考えてあげてっ!」
……最悪
花織の後ろ姿を見送りつつ
私の表情は歪んでいく
どうすればいいのかな……
もちろん先生との恋は
叶わないと思う。
でも秦本くんのことが
好きにはなれない。
ろうそくの炎のように
恋心は揺れ動く。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。