私は見ていた、彼の目をずっと。
頷いた瞬間、彼の目の色が変わった気がした。
『あなたがええ言うたんやからな…
ほんまに手加減せえへんよ?』
「…分かってる、っん」
チュッと軽い遊びのようなキスが何度も何度も降ってきた。
「…んん、ここ、誰が見てるかわかんっないっ…」
『…っうっさい、黙っとけ』
そう言われたと同時に長いキスに変わった。
「…ながっぃん!!!」
酸素を求め開いた口に勢いよく入ってくる彼の舌。
彼の首に腕を回せば、私の後頭部に手を回し固定してくる。
唇が離れる度にひく、2人の銀色の糸。
唇を甘噛みし合えば、また始まる深く甘い口付け。
思えば、こんなに気持ちいいキスは初めてで、気を抜いたら腰が抜けてしまいそうだった。
『…おっと、ふらついてしまう程気持ちよかったん?』
「…ん。こんなん初めて…」
『…今から俺ん家来る?続きでもしよか。』
友達からのLINEはかなり入ってたけど、それより、
彼に壊してもらいたい…
その欲望の方が強かった_______
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!