軽く手を振り2人と別れ、図書室へと向かった。
ガラッ
図書室と書かれたプレートの付いた教室に入ると、そこは静かで人が居ない。まさに図書室って感じである。
私がなぜ図書室に来たかと言うと、中学校の時からやっている図書委員の仕事をやりに来たのだ。
まあ、仕事と言っても人も来ないしやることないし、サボってもいいと思うけどね笑
でも、昔から本が好きだし図書室は私の癒しの空間だから時間ぎりぎりまで居るようになってる。
そう考えた私は、荷物を机に置きすぐに取り掛かった。
すると
扉からひょこっと顔を出しているのは柳瀬翔だ。
わたしの癒しの空間を返せ
ため息混じりの私の声にも、ピピっと反応をして
上目遣いと甘ったるい声を出して、話す。
そう言って、柳瀬をドアの方へ促す
あー自然な流れで帰ってもらう作戦が…
もー、めんどくさいし無視しよ。
適当に返事をして、さっきの作業を進めた。
飽きたら帰るだろうと思ったのに
コイツは自分から私に話しかけてくるし帰ってくれそうに見えなかった。こっちが諦めて大人しくしておこうとおもった、
ムスッとしながら、本を見つめている。
どうして私にこんなに構うのだろう。
コイツなら、沢山女子が集まってくるし私じゃなくてもいいと思うけど。
今まで疑問になっていたことを聞く。
一瞬何を言われてるかわからなかった。
ムカつく顔で笑うから、つい
と言ってしまった。
流石に言いすぎたかな?っと思い、顔を見ると
ニコッと私に笑いかけるコイツ。
何で傷つかないんだろう…コイツはいつになったら傷つくんだ?とそう思いつつ、上にある本棚の整理をするために、はしごに登る。
少しぐらつくけど…大丈夫かな?
グラッ
ハシゴが床に倒れようとした。
そのせいで私も床に落ち___
ドサッ
下を見ると、柳瀬翔が私の下敷きになっていた。
私より自分の方が痛かっただろうに、私の心配をする。
私を助けようとした時に、手をひねったらしく
手首をかばうような仕草をした。
ニッっと悪戯っぼい笑顔でこっちを見る。
仕方ない、助けてもらったし保健室に連れてこう。
大丈夫って言ってる割には、顔がひきってるようにみえた。
痛くない方の手を引っ張る。
●●●●●
ガラッ
扉を開けると、中には誰もいなかった。
すると柳瀬は、もう帰ろうとする。
こんなまま帰られたら、私だけ罪悪感が残ってしまう気がする。
しぶしぶ柳瀬も私に応じた。
柳瀬の手首に湿布と包帯を巻く。
しょぼくれた顔で私がまいている包帯を見つめる。
そんな落ち込む程でもないと思うけどなーと思い
少し慰めてあげた。
そう言って抱きついてきた。
こっちが優しくしたと思って調子乗ってるなコイツ…
何かひどいこと言おうと思ったけど、助けてもらったご身分なので言えるはずもなく。黙っている事しか出来なかった。
そう小さく呟いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!