待ち合わせの時間より少し早めに着こうと思い早めに家を出る。
今日は土曜日。瀬戸くんと約束していた遊園地へ行く日。
初めて異性と遊園地に行くから内心少しドキドキ。
そういえば、瀬戸くんはなんで私を誘ったんだろ?
そう思いながら、歩いていると待ち合わせ場所に着いた。
けど、もうそこには瀬戸くんが待っていた。しかもめっちゃオシャレだし…!
瀬戸くんは私に気づきこっちに来てくれた。
そう言って、目を逸らす。
いつも以上に口数か少ない瀬戸くんを不思議に思った。
顔を真っ赤にして俯きながら褒めてくれた。
褒めてくれたので私も褒め返す。
これもまた顔を赤くしてる。
なんか可愛いな笑
瀬戸くんは、人に褒められるのが慣れてないみたい。
新しい一面をみれて少し嬉しかった
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遊園地に行くと、もう人が沢山いた。
アトラクションに並ぶ人や売店で食べ物を買う人などとにかく人が多い。
人が多過ぎて離れたら迷子になりそうだ。
そう言って、瀬戸くんは自分の上着の袖を指さした。
私も迷子センターにはお世話になりたくないので、服の袖を掴んだ。
私は上を見上げて指を指した
瀬戸くんの顔が少し曇った。
私が指さしたのは、ジェットコースター。
一回転したりグネグネしたコースターだ。私は絶叫系が大好きなのでああいうものに目がない。
瀬戸くんの手を引っ張って、ジェットコースターへの入口へ走った。
この時もっとちゃんと瀬戸くんの意見を聞くべきだったと後悔した。
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ジェットコースターの出口から出た瞬間、90度に曲げて謝る。
顔を青くした瀬戸くんが言う。
まあ、青くさせたのは私のせいなんですが…
瀬戸くんは絶叫系が苦手らしく、私が無理に連れていったばかりに瀬戸くんはこんな事に…
そう言って、瀬戸くんをベンチに座らせた。
申し訳なさでとりあえず何かして上げたかった。
飲み物を買いに行こうとベンチにから立ち上がり前を向くと
ソコには、柳瀬と同じクラスの子ではない女の子と一緒に居た。
ズキン
胸が苦しくて、そんな状況見たくなかった。
すぐさまその場から立ち去った。
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ベンチの所からは少し遠い自販機まできた。
さっきのことが頭から離れなかった。
別にイイじゃん。アイツが誰とどこへ来ていようが私には関係無い。
それに、私だって友達と来てるし…あっちだって友達なのかもしれない
なのに何でこんなに傷付いてんの私は……
自販機にお金を入れてお水を買った。
そのペットボトルにポタッと涙が落ちた。
あれ?私なんで泣いてんの
自分で気づいた時にはもうぼろぼろ泣いていた。
すると後ろから声を掛けられた。
泣いて気が緩んでしまったのか、腑抜けた声を出してしまった。
そう言って手を引っ張る。
こんな辛い時になんで_
その男は意外と力が強くて振り解けずにいた。
すると
低い声で、相手を威嚇するように言ってくれた。
何で柳瀬がここに?
て言うか、アンタのせいで私泣いてたし。こんな遠い自販機まできたのに…
何で柳瀬が来るとこんなにうれしいのさ_
そう言って、私の手を解きどこかへ行った。
すぐに心配そうに駆け寄ってくる。
助けてくれたのにお礼も言わずに減らず口を叩いてしまう
ほら、やっぱり友達
勝手に色々想像して勘違いして泣いてる私が恥ずかし
柳瀬の口から彼女じゃないって聞けてホッとして涙が出た。
柳瀬はさっきのことで泣いてると思ってるけど
変な所鈍感だな…
袖を引っ張って小さく呟いた。
ニコッと笑う顔がキラキラして見える___
私_何か間違えてる気がする
自分の気持ち__間違ってる_
気になってるんじゃない_私は柳瀬のこと
まさか自分から爆弾投下するなんて思ってなかった__
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。