観覧車から、降りると店の人がそそくさと私たちを誘導する。
観覧車に乗った時から、涼太くんの様子がおかしい。
告白をしてきてくれたり、抱きしめてきたり、キスしてきたり__
それに今だって…
そう言って、手を普通の手繋から恋人繋ぎに変えた。
パシャ
眩しいフラッシュが目の前に現れる。
お店の人はチェキを使って撮ったらしく、すぐに現像され写真となって、渡された。
それを涼太くんがぶっきらぼうに手を繋いでない方で受け取る。もう片方の手はもちろん握ったまま。
涼太くんから手を離してくれる感じがしなかったので、
私から言ってみた。こんな所もし柳瀬に見られたら勘違いされちゃうかもしれない__
と、全然手を離してくれなかった。
涼太くんすっごい積極的になってる?!?
どどどうしよう…???
涼太くんにそういうこと言われるの困るよー!!
と、テンパってると
私が今1番会いたくなかった人にあってしまった。
柳瀬も、女の子と一緒に居たけど手は繋いでない。
やっぱり柳瀬の言う通り付き合っては居ないんだ…、
でも私は付き合ってもいないのに手なんて繋いでる。
私はこの場から早く逃げ出したかった…
やなせは私を呼んだけど無視し、涼太くんを引っ張って遊園地を出た。
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遊園地を出ると、まだ皆遊園地に行こうとしてる人が多く楽しそうな顔をしていた。
わたしは、どんな顔してるんだろ…
こんなの…涼太くんにも悪いや…
と、考えてると手が自由になった。
涼太くんの話を聞いてると、頬に水が垂れた。
雨かな?って思ったけど、あったかい。
そう言って自分服で私の涙を拭った。
そう言って涼太くんは、私と距離をとって隣を歩いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!