私の家の前で涼太くんと、別れた。
涼太くんは、家に着くまで私と距離をとって歩いてた。きっと、抱きしめたりしたことを反省してるのだろう。
私もあの時すごく困ったりしたけど、涼太くんが告白してきた時にちゃんと振れなかった私が悪い。
涼太くんに流されて、そのまま手を繋いだりして
挙げ句の果てに、それを、柳瀬に見られて勝手に悲しくなって。涼太くんに謝らせてるし……。
私はスマホをバックから取り出し、瀬戸くんのトークを開いた。
"ごめんね"と打とうとしたけどやめた。
今更そんなこと言ったって、きっと涼太くんは
自分のせいだからとか言うんだ。優しいから。
ピロン
タイミングが良いのか悪いのか、涼太くんからLINE。
涼太>今日は色々悪かった。
涼太>別にお前を困らせたかったわけじゃなかった。ただ、俺の気持ち知ってて欲しい。
涼太>例え遥がアイツの事好きでも俺は諦めたりしねー。
文字から涼太くんのちゃんとした気持ちが伝わって来る。涼太くんは嘘はつかないと思うから。
私の事そんな真剣に思ってくれてたんだ___。
遥>気持ちは、凄く嬉しかった。ありがとう。
涼太くんは真剣に私に伝えてくれたんだから、私も言わなきゃ。
そう思い、文字を打つ。
遥>でも、私は涼太くんの気持ちには応えられないよ。
涼太>いんだよ、それでも。
涼太>名前呼びの件だけど、遥が呼びやすいので良い。俺は遥って呼ぶけど。
遥>じゃあ、私も涼太くんって呼ぶよ!
涼太>ん。じゃあ、月曜な
遥>うん。今日はありがとう😊月曜ね。
返信が来なくなったのを確認して、トークを閉じる。
そして、ようやく自分の家に入った。
ニヤニヤした顔でそういってくる。
返事をしながら、自分の部屋に入った
涼太くんとの事は、とりあえず一件落着?だけど。
あの時、柳瀬に会ってびっくりして逃げてしまった。
折角"好き"って気づけたのに。
柳瀬に今日の事を言いたくてもLINEを持ってないので、何も連絡を取る手段がなかった。
だから、月曜日。柳瀬が話しかけてきたら、あれは違うって言おう。
ピロン
またLINE。次は乃々からだ。
乃々>やほー
遥>(*゚▽゚)ノヤホー!
乃々>ね、遥さ演劇何したい??
遥>え?演劇?
乃々>え!わかんない?うちの学校だけのイベントだよ?
遥>あ、それの事ね笑分かるよー!
"演劇"というのは、私達の学校の大きいイベント。
各クラスで、演劇をしてその中で一番良かったクラスが賞をもらえたりする。
遥>去年、雑用だったから。今年もそれで行こうと思ってるよ!
乃々>ほー!そうなんだね、私もじゃあ、雑用にする!www
遥>うぇーい。雑用仲間www
私はまだ知らなかった。演劇で、目立ち役をやらされるなんて。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。