教室に入ると、大体の人がもう登校していた。
皆、演劇の話で持ち切りだった。
二人と挨拶を交わしながら、自分の机にバッグを置く。
そして耳に入ってくるのは、アイツと女子の会話。
何気ない会話なのに、それにも私は胸がぎゅっと締め付けられた。いつもなら、私が教室に入ってくるとすぐに話しかけてくるのに今日は全然話しかけてこなかった。
勘違いしたのかな…。
私は話しが聞こえない様に机に突っ伏した。
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朝のHRが、終わり1時間目。
今日は演劇の物語と役割を決めるらしい。
委員長を中心に話を進めていくようだ。
委員長がたんたんと話を進めていく。
みんなも、この演劇が楽しみだったようで話を集中して聞いていた。
ほぼ今の会話を傍観者として聞いてた私は何のことか意味がわからなかった。
皆からの視線と頼み攻撃に耐えきれなくなった私は
な、なんかオッケイしちゃったけど、これ大丈夫か…?!
私の心配とは裏腹に、物語決め&役決めはほんの数分で終わってしまった。
そのあと私はずーっと、後悔の想いでいっぱいだった。
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昼休み。後から抱きついてきたのは麻耶。
キスシーン?何それ…………
柳瀬それ知ってて、言っきたわけじゃないよね…
柳瀬のことは好きだけど、そんなみんなの前で?!
無理無理!!!
そんなことを話していると
名前を呼ばれただけなのに、すごく嬉しかった。
でも、いじられるから素直な事は言えない。
緊張して柳瀬の顔もまともに見れず目をそらした。
ニコニコした顔で私にそう言った。
前なら、キモいで終わらせてたけど……////
今は好きだから、前みたいになんて無理。
二人っきりで練習したいとか言われたら嬉しいじゃんか。
グイッ
突然腕を柳瀬に引っ張られ、
また、耳元で私にしか聞こえないような声でいった。
と、言って自分の席に戻った。
乃々と麻耶も近くに居るのに。
なんで、あんな風に言ってくるの////
心臓もたないよ…バカ
さっきのって、一緒に帰るってことだよね…?
どうしよう////心臓が…もたない!!
でもこれ、昨日のこと話すチャンスだよね…!
よし頑張ろう…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!