今日は本当に台詞を覚えるだけで終わった。
結構緊張してたから、大分疲れた。
それぞれ、帰る準備をしている中
体育館を覗く視線が…、
ちらっと見てみると
土曜日、遊園地で柳瀬と一緒に居た女のコだった。
そう言って、柳瀬は"にな"ちゃんの所へ行った。
呼び捨てなんだ……
ズキッ
何だろ…この感じ。
柳瀬はになちゃんという子と親しげに話している。
私にはあの時デートじゃないって言ってたけど。
本当はデートだったんじゃないのかな…
色々嫌な考えが思いついてしまう。
すると話が終わったのか、柳瀬がこっちに戻ってきた
急に誘われるからびっくりした。
しかも"今日も"って!!!
まあ、今は無駄に嫌な事考えるのはやめよう。
せっかく柳瀬といられるんだから
パパッと、帰る準備を済ませ柳瀬に帰れると伝える。
~~~~~~~~~~~~~
外は少し暗くて、冷たい風が吹く。
もうそんなに、生徒が帰ってる時間じゃなかったので演劇の練習で残っていた生徒しか居なかった。
なんかいいなぁ、こういうの笑
つい、カレカノっぽいと思ってしまい笑みがこぼれてしまった。
そう言えば、なんで今日一緒に帰ろうなんて言ったんだろう…?
直接聞いてみることにした。
嬉しすぎて顔のニヤケが止まらず、下を向くしかなかった。
ニコッと笑いながら、こっちを見て来る柳瀬に胸が高鳴った。
______好き__
たった二文字なのに…なんで言えないんだろう__
言わなきゃ_何も変わんない_!!!
私はその場で立ち止まる。
柳瀬も立ち止まる。
ギュッとバックを持った手に力が入る。
...♪*゚...♪*゚
このタイミングで、柳瀬の電話が鳴る。
結構頑張ったのに……
電話の相手はどうやら女のコらしい。
柳瀬ってもう私の事好きじゃないのかな…
別に一緒に帰るのなんて、好きじゃなくても帰れるしね…
私もしかして…勘違いしてたかな?
柳瀬は本当に私の事好きなのかな……
そう考えてしまうと、次々にネガティブな考えが浮かんでしまう。
柳瀬には沢山の女のコが周りにいて、選び放題で…
たまたま、あの時はちょっと目に入ったから遊んでやろーみたいな感じだったりして…
電話を終えた柳瀬が戻ってきた。
そう言って歩きはじめた
と言って私の顔を覗き込んできた。
あーあ。今は多分見られたらダメだ……
色々考えすぎて泣きそうになる。
それを堪えて、柳瀬から顔を背ける。
心配そうな顔をして見ていた。
私何してるんだろ…せっかく好きな人と帰れてるのに。
いつの間にか私は柳瀬より歩くのが早くなっていた。
ぎゅ
早く歩く私を止めるように、手首をつかむ。
どうせ思ってないクセに。
柳瀬の手を振り払い、走って帰った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!