今回は2回ほど通しで練習して、そのあと個人練習をして終わった。
テキパキと進んだおかげで、大分イイ感じ。
お互いに、言い合って帰る用意をする。
私も帰る準備をしていると
そう言って、私に向かって手招きしてくる。
呼ばれたので近くに寄っていくと
グイッ
急に腕を掴まれて、私が柳瀬の胸に飛び込む形に……?!
周りにも人がいる訳で、みんなこっちを見ていた。
奇跡的にここの人達の中には熱狂的柳瀬ファンは居ないので、私がニヤニヤされるだけで済んだ。
ていうか!なんなの?!この状況!?
私も柳瀬を好きになってしまったご身分。
拒めるはずもなく。ただ柳瀬の胸に顔を埋めるしかなかった。
小声で周りに気づかれない声でそういった。
私は、首を縦に振って柳瀬から離れた。
きょとんとした顔で言うからホントなんだろう。
ギュッ
私の手を握りながら、走り出した。
当然引っ張られる。
最近の私は柳瀬に振り回されてばっかだ
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ガラッ
なぜ私がこんなに疲れてるのかと言うと、
柳瀬が空き教室を探すために、私と手を繋いだまま階段をめちゃくちゃ早いスピードで駆け上がって言ったせいである。
空き教室に入ると、少しヒヤッとしている。
走ったせいで汗もかいて、それが冷えて寒く感じる。
そのシーンからのセリフを言う。
王子様のセリフを言ったあと、跪き私の手を握る。
何だかどんどんアレンジが加わってるような……
ここで2人ともセリフは終わる。
柳瀬がどんどんアレンジを加えていく度に私の心臓が悲鳴を上げている……
いつもの柳瀬も好きだけど、王子様役をしてる柳瀬は倍かっこいい
なんかもう…私の負けですよ……
絶対心臓持ちません。
むーっと唸りながら考えている柳瀬。
そんな姿も可愛くて頭をわしゃわしゃしたくなる
柳瀬は何かを思いついたように、私を壁側にして__
ドンッ
私は今壁ドンされた。
人生初&好きな人に
てか、コレは演劇の練習なの?
やった本人も顔赤い???
なんなの?!この状況
顔を赤くして目を背ける
自己満て……笑
私も嬉しかったよ?
まあ、そんなことも言えるはずないし…
そう言いながら柳瀬を退かす。
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あれから、しばらく練習して
いい時間になったので帰ることにした。
こんなに素っ気ない態度。
あーあ。可愛くないなあ
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帰る用意をして、教室から出てすぐの階段を
降りようとした時
グンッ
長年付き合ってきた私の足が言うことを聞かなかった。
どうやら、靴紐が解けていたらしい。
そのせいで私は階段から落ち_
柳瀬が私の、お腹に手を回し自分に引き寄せた。
そう言って、私を抱き寄せた。
もう私には状況が読み込めなかった。
私が階段から落ちかけて…柳瀬が助けてくれて…抱き締められてる???
そう言って、抱きしめる手に力が入った。
消えてしまいそうなくらいの声で、呟く
私の心臓は高鳴るばかりだ。
こんなに良いのだろうか_
幸せになってしまって
これ以上、あなたを好きになってもいいのでしょうか___?
ずっとこうしていたいなんて_思っちゃダメかな___
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!