「ふぅ〜」
私と美紅はお風呂から出た。
「なんか飲む〜?」
「うん!お茶欲しい!」
「はーい。啓太は??」
「俺は大丈夫ー!」
私は2つのコップを出してお茶を注ぐ。
そして私はLINEをチェックした。
まだ、達也さん帰ってこないか…
現場大変なのかな?
取り残されてる人とかいるのかな?
心配…
「はいどーぞ。」
お茶が入ったコップを差し出す。
「ありがとー。」
ゴクゴクと美紅が飲み干していく。
「ぷはぁー!美味し〜」
「親父かよ。」
「うわっ!か弱い、か弱い女の子にそーゆーこと言っちゃう??」
「言っちゃう〜。しかもお前、か弱くねーだろ。」
「はぁい???か弱いですけどぉ〜?」
「どこがだよ。」
啓太はボソッと言った。
「何か言いましたぁ〜??」
「言ってませぇ〜ん。」
「よろしい。」
2人のかけ合いを見て私は笑った。
「あははっ」
「もう、あなたー!」
「ごめん、ごめん。2人のコントが面白すぎて。」
「コントじゃ[ないし!] [ねーよ!]」
「すごい。息ピッタリじゃん!」
そんなこんなで私達はテレビを見ながら話していた。
そして、しばらくすると番組と番組の間に入るニュースが流れた。
「あ…。」
もしかして…
ここが現場…?
上空からの映像で、暗い闇の中に炎が燃え上がっていた。
何軒かは全焼しているのが見え、消化活動をしているのも見えた。
『7時30分頃、〇〇市の住宅密集地にて火災が発生しました。
住民の方からの通報を受け、駆けつけた消防隊員らは消化活動を行いましたが、
3時間がたった今も未だに消化活動が続けられています。
なお、けが人、及び死亡者は多数いると見られていますが、正確な情報は入っておりません。』
アナウンサーがスラスラと原稿を読む。
こんなにも…。
私は胸が痛んだ。
そして、なんとも言い表せないような感情が押し寄せた…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。