第16話

真実
1,097
2017/11/12 00:30
((目線自分に戻ります))


「初めて会った時、一番最初に思ったのが、イケメン!って事だった。」

「笑っちゃうよね。」

「街をフラフラ歩いて、ご飯食べたりした。」

「私達は、すぐ意気投合して、お兄ちゃんってこんな感じなのかなって思った。」

「それから月に一回会うか会わないかくらいのペースで会っていた。」

「でも、あなたにそれを言わなかった。」

「なんか、言いづらかった。」

「なんでも話せる!って思ってたのに、

いざ話そうとすると、お母さんを裏切ったお父さんを憎らしく思えた。」

「私は、お父さんを憎みたくなかった。」

「だから私は家族以外の誰にも話せなかった。」

「いや、話さなかった。」

「いつかは話そう。」

「そう思ってた。けど、」

「こんなタイミングになって…ごめん。」

そうだったんだ…。

「大丈夫。話してくれてありがとう。」

「でも…」

「この事実を知った後も、知る前と変わらないと思う。」

「私は達也さんの事が好きだし、美紅も大好き。」

「それは絶対に変わらないよ。」

と微笑む。

「まぁ、正直、話してくれなかった事はショックだけどー?」

少しおどけて言ってみた。

「あなたー!!」

美紅は抱きついてきた。

「ゔっ」

「ごめんねぇ、ごめんねぇ。」

「だから良いって。だいじょーぶ!」

私は美紅の頭を撫でた。

ふと、達也さんの方を見る。

目があった。

“ありがとう”

口パクで達也さんが言った。

私は笑って返した。

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