「あっ、もうすぐイルカショー始まりますよ?見ますか??」
パンフレットを見せながら言った。
テンションが上がっている私を見て、
「うん、見ようか。」
と微笑む。
「はい!」
そして、私達はちょうど真ん中より少し後ろの方に座った。
次々と披露されるイルカのパフォーマンス。
イルカの上にトレーナーさんが乗ったり、イルカがフープをくぐったりしていた。
「すごい!」
と拍手を送る。
イルカが飛ぶたびに水しぶきが上がり、キラキラと光っていた。
「トレーナーになったらイルカと触れ合えるなんて楽しそうですね!」
「そうだね。でも大変そう。」
たしかに…。と頷く。
「あなたちゃん泳げるの?」
「まぁ、まぁ、ですかね??」
「じゃあ、夏休み、海でも行こうか。」
「え!本当ですか!?」
身を乗り出す私。
「うん、もちろん。」
と、優しく笑ってくれた。
「約束!約束ですよ??」
「うん、約束。」
達也さんと海なんて楽しみすぎる!!!
絶対かっこいい!!!!!
私も水着買わないと!
それから私はニヤケながらイルカショーを楽しんだ。
「すごかったですね!」
「うん、可愛かったね。」
などと感想を言いながら歩く。
ショーの後は人がごった返している。
そのまま歩いてふと横を見ると、達也さんが居なかった。
「え!うそ…。はぐれた?」
私は急いで達也さんに電話した。
「もしもし??」
『あ、良かった。あなたちゃん大丈夫?』
ホッとした声を聞いて、探してくれてたんだと嬉しくなる。
「大丈夫です。」
『じゃあ、どこがで落ち合おうか。』
「そうですね、えーっと、ペンギンがいる近くのトイレはどうですか?」
『うん、わかった。じゃあ、また後でね』
「はい、」
私は電話を切り、集合場所へと急いだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。