第18話

2学期終わり
69
2018/01/01 12:59
翌日は休日ということもあり、たっぷり昼まで寝過ごして体力の回復に専念した。
その次の日は終業式で、やっと2学期が終わったんだなと思わせられた。通知表はオール5だった。
夏夢に今日は一緒に帰ろうと誘われた。断る理由なんてない。私は帰路をともにした。
夏夢
夏夢
それにしても優夢ってほんと頭いいよね…あたしまた数学と理科が4だったよー
優夢
優夢
んー………まぁまぁ、4いってたらいいんじゃない?
どうせうちの学校は受験なんかしなくても高校に上がれるんだし
夏夢
夏夢
そうじゃなくてさー……親が
暗い表情で言う夏夢に優夢は察した。
優夢
優夢
それはー……………お疲れ様。
まぁ私もオール5取っとかないと従姉がきついから…
夏夢
夏夢
あーあの優夢によく似た子?
なんだっけ………あ、ユーリアちゃんだっけ
優夢
優夢
そう…
夏夢との間では、ユーリアは私の従姉妹ということになっている。そうしておいた方が色々と楽だからだ。
夏夢
夏夢
今はもうヨーロッパに住まなくても平気なの?
優夢
優夢
うん。
ユーリアったら日本語覚えるの凄い早くてね、おまけに和食が大好きになってね、もう帰りたくないなんて言い出すんだよー
……そして髪色や目の色からヨーロッパ住まいという設定にしてある。まぁ彼女、ユーリアはヨーロッパ(ポーランド)出身らしいから別に間違ってはいないのだが…。
夏夢
夏夢
へぇ〜、ユーリアちゃん見た目はミステリアスで少しキュートって感じなのになんか意外だね〜
優夢
優夢
えへへ、本人もそれよく言われるわって言うと思うよー。あ、私こっちだから、ばいばーい
夏夢
夏夢
うん、ばいばーい♪
数分坂道を歩くと変わりない私の家が見えてきた。
優夢
優夢
ただい…………
玄関を開けると2階から何やら2人の怒声が聞こえる。
優夢
優夢
ユーリア
ユーリア
なんでよ!
ポテチはうすしおでしょ!?
ルアリー
ルアリー
あぁ!?
コンソメが1番うまいってそれ言われてっから!
優夢
優夢
……………何やってんの?
優夢がそう言うのも無理はない。
賢者と呼ばれているような人達がポテチ片手にどっちが1番美味しいかなんていう、まるで小学生がやりそうな言い争いをしていたのだ。
そしてそれは飛び火となって優夢を襲う。
ユーリア
ユーリア
あ!優夢!聞いて聞いて!
ルアったらポテチはコンソメが1番美味しいなんて言い出すんだよ!?うすしおが1番美味しいよね!?
ルアリー
ルアリー
いやいや!なぁ優夢!!
お前さんは勿論コンソメが1番美味いと思ってるだろ!?
優夢
優夢
え、えーとぉ………
どうしよう、ここはどちらかに合わせるべきなのか。
それとも私自身の好みを言うべきなのか。
-そんなの選ぶまでもないだろう。
優夢
優夢
わ、私は………
ユーリア
ユーリア
………
ルアリー
ルアリー
…………
優夢
優夢
関西だししょうゆ…かな!
ユーリア
ユーリア
………………………………え?
ルアリー
ルアリー
……………………マジかよ
ユーリア
ユーリア
皆…………違うだなんて……っ
優夢
優夢
あでも堅揚●ポ●トならブラックペッパーが好きだよ
ルアリー
ルアリー
そこは…
ユーリア
ユーリア
関西だししょうゆじゃないのね………
何故か2人とも瀕死のダメージを食らったような話し方に変わり、私は困惑するしかなかった。
だが、空腹に限界を感じがっくりと項垂れた賢者2人を放置、ひとりキッチンへと向かった。
ユーリア
ユーリア
………ねぇルア
ルアリー
ルアリー
うん?
ユーリア
ユーリア
……………あたし達の故郷に優夢を連れて行ってあげたいね
ルアリー
ルアリー
珍しいな。
お前がそんなこと言うなんて。
…まぁ、そうだな。
ドイツもポーランドも綺麗だからな…。
俺、初めて日本に来た時びっくりしたのはどんなことにもすいませんすいませんって言うところだったなぁ
ユーリア
ユーリア
あたしはそんなに驚かなかったかな。
でも、酔っ払ったおじさんが路上で寝ているのを優夢の体で見た時は流石に引いたよ…でも、そんなことが出来るぐらいこの国の治安は悪くないんだろうなとは思ったわ。………少し物価が高い気がするけどね
なんて呑気に話していると、キッチンからバターのいい匂いが漂う。
2人はその匂いにつられかけたがあくまでも食べるのは優夢であって自分たちではないということを思い出すと再び雑談を始めた。
優夢
優夢
見て!
ガーリックライス作ったの!
あのバターの匂いからガーリックライスが出てくるのかという賢者2人の心のツッコミは優夢には届くことなく、優夢は作りたてのガーリックライスを頬張る。
賢者2人がそのガーリックライスの出来に目を奪われたと勘違いしたのか、優夢は2人に食べる?と言わんばかりにガーリックライスを取ったスプーンを差し出す。
ルアリー
ルアリー
…ユーリア
ユーリア
ユーリア
いや、ルアからでいいよ
そう言われルアリエは仕方なく先に一口もらうことにした。どちらかと言えば、ユーリアが口をつけてからの方が幼馴染ということもあり気が楽だったのだが。
優夢
優夢
どう?
ルアリー
ルアリー
バターが凄い良い………お前さん料理うますぎやしねぇか?
優夢
優夢
えへへっ……なんか今まで(人に)手料理を褒めてもらうことが殆ど無かったから照れるなー
ユーリア
ユーリア
優夢あたしにもひと口ちょーだーい
優夢
優夢
ユーリア
ユーリア
……わぁ…まろやか……優しいバターの味とガーリックの辛さがいい感じにマッチしてるのね
その後3人はゲームしたり本を読んだりと、家族のように過ごした。
優夢はいつまでもこの時が続けばいいと思った。
素直になれない、可愛らしい自分の前世とは打ち解け、自分がまだ赤ん坊だった頃から色々と見守ってくれた父のような優しい賢者とは本当に親しくなった。
優夢
優夢
ねぇねぇ、明日年末セールがあるんだって!
一緒に行こうよ!
ルアリー
ルアリー
おういいぜ
ユーリア
ユーリア
あたしの魔法で商品独り占めしてあげる♪
優夢
優夢
………
まぁ一応元々2人が快諾してくれることは予想はついていた。だから今、優夢の手元には株投資で大成功して手に入れた、既に円に換えた札束がある。
ただユーリアの気分次第では大変なことになりそうだ-…


to be continued

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