俺は親友の大ちゃんと一緒に次の授業のために教室移動する。
二年生の教室の前でニコニコと笑っている懐かしい笑顔。
また君に会えた。
もう会えないと思っていたのに。
何であの電車に乗っていないのだろう。
どうすれば君に話しかけられるんだ?
俺は自分に問いかけながら、理科室へ入った。
授業が終わり、理科室を出る。
また、君の姿がある。
じーっと見てると、大ちゃんが話しかけてきた。
大声で言ったせいか、君がこっちを振り向いた。
あっ…と俺に気づいたようなー素振りを見せ、俺は一瞬固まった。
え…?
今、俺に笑った…?
じっとしていると、君はこっちに近づいてきた。
やっと会えた。
やっと話せた。
やっと名前を知ることができた。
奇跡って本当にあるんだ…。
俺はあなたさんにお辞儀をして、教室に戻った。
大ちゃんには言ってもいいよな。
大切な友達なんだし…。
これから、また会えるかな?
あ…何で今、電車にいないんだろう…
聞くの忘れてた。
今度会ったら…聞いてみようかな…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。