1年前──。
いつからかはあまりよく覚えてないけど、涼介は少しずつ冷たくなっていったよね。
始めはその変化にはあまり気づかなかった。
というか、気付かないふりをしていた......と言った方が正しいのかもしれない。
まず、1週間に一度の電話が無くなってしまった。その時 涼介は、最近忙しくて電話が出来なくなった、とLINEで言っていた。うん、しょうがないよね。涼介は人気グループの、一員なんだもん。私がここでわがままを言っちゃダメだ。涼介を悲しませてしまう。そんなのは嫌だ。涼介の重荷になりたくない。私は涼介を支える存在にならなくちゃいけないんだ、と自分に言い聞かせていた。
そしてしばらく経ったある日、何時になってもLINEが来ない日があった。今までこんな事が無かったのに...。涼介が心配でたまらなくなった。何かあったのかな...?不安で不安でしかたがない。
不安になりながらも、その日は忙しい涼介に迷惑をかけたくなくて、LINEは我慢して寝むりについた。また次の日LINEで聞けばいいだろう、そう思って。
次の日の夜10時すぎ。
涼介からのLINEは来ていない。
普段だったら8時には絶対一言は来ている。
なんで??なんで連絡来ないの?
事故とかだったら、他のメンバーから連絡してくれるはずだ。涼介...。やっぱり何かあったのかもしれない。きっとそうだ。涼介が理由もなしにいきなりLINEをしてくれないなんてありえない。そんな事するはずがない。
私は涼介がジャニーズになってから、自分から涼介にLINEを送ったことが無かった。理由は、私よりも忙しい涼介の都合に合わせた方が、より多い時間LINEが出来ると考えたからだ。涼介が仕事をしている時にLINEを送ってしまうと迷惑になってしまう。だけど、それに比べて私は、だいたいの時間は暇だから、涼介から来たLINEをほぼ100%の確率で見ることが出来るのだ。
そのまた次の日。
(今日もLINE来てない.......。)
我慢の限界で、私は涼介にLINEを送ってみることにした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。