家がマンションの私は、自分の階のところでエレベーターを降りて、部屋に向かった。
部屋の前までつくと、鍵を出そうとカバンをあさる。
あなた 「……...あれ?」
……鍵が...ない??
確かに今朝、鍵を閉めたはず。
...はず。
...はず?
思い出せない。
今朝寝坊して、いそいで支度して、
家を出て鍵を閉めて……...ない、かもしれない...。
という事は……
ガチャ ...
開いてる...。
やっぱり...。
私とした事が、うっかり閉め忘れてしまっていた。
ドアを開けて中に入った私は、家の中に置きっぱなしになっている鍵を見つけた。
いつものように下駄箱の上に置いてある鍵は、昨日家に帰ってきて置いた時と全く変わっていなかった。
........けれど。
何か違和感がある。
見たところ何も変わってないはずなんだけど、空気が違うというか...、うまく説明出来ないけど、とにかくいつもと違う。
考えている時間がもどかしくて、私はとりあえず家の中に入った。
早く不安を取り消したかったからだ。
もしかしたら誰かがこの家に.....
なんて考えたくなかった。
だから、自分の中で大丈夫、大丈夫と唱えながら部屋に入った。
しかし、期待は裏切られた。
部屋に入った途端、私は驚きと恐怖で固まってしまった。
あなた 「なに、これ...……。」
部屋は、めちゃくちゃに荒らされていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。