桜が舞い散った。
ふわりふわりと桃色の花びらが飛ぶ。
柔らかい桜の香りが鼻にはいってくすぐったい。
花びらがふと目の前に来て、両手で受け止める。
足を止めて花びらを見た。
綺麗。素直にそう思う。
私以外の物や人は皆綺麗で皆、輝いている。
ぼんやりとそう思っていたら、
―――ドンッ!
背中に鈍い衝撃がはしり、後ろを向く。
そこには、冬から生まれたのではないかという位
冷たい目で私を見ている人がいた。
え。謝ったのに無視?
確かに、よそ見をしていた私が悪かったけど……。
無視されるぐらいひどくぶつかったのかな?
考えているうちに目の前の男の人は、居なくなってしまった。
でも、見たこと無い顔だったし1年生かな。
だったら、会うことも少ないだろうしもういいか。
あまり深く考えずに下駄箱へ向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。