第4話
3.高校生活2回目
私の席はここか。結構良い席かも。
窓側の一番後ろの席。隣も空席だし。
日差しが風に吹かれるカーテンに合わせて、
ゆらゆらとゆれる。
ついつい、声に出してしまった。
それにしても春は暖かいなぁ。
語尾を甘くのばす声。
サイドでひとつに結んだみつあみをたらりと、私の
目線まで落とす。
ついついぼんやりしちゃった。
にこやかに杏里に挨拶する。
大丈夫かな。おかしくなかったかな。
大丈夫だ。杏里は呆れたように笑った。
まるで、お人形のような顔をしている杏里は、
とっても可愛い。
くりくりした丸い目。透き通るような白い肌。
長いまつげと髪は、墨のように黒くてしなやか。
小さな口は、グロスなんて塗ってなくても潤っている。
私の、顔とは比べ物にならない。
隣にいると完全に引き立て役みたいな顔してるし。
だって、もうたった数分話してる間に
男子の視線がこちらに集中している。
その視線に耐えられなくなった私は
お気楽な声で立ち去ってくれた。
私は、そのタイミングを待っていたかのように
盛大なため息をつく。
疲れた。ちょっと、話しただけなのに。
これから先、やっていけるのかな。
大きな不安が襲った。
でも……。
いつかは良いことがある。と、ちっぽけな
前向きな勇気を固く握りしめた。