第8話

8.お気に入りの場所で
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2017/12/03 06:23
もう放課後。
1日が過ぎるのが早くて私は
いつも、今日に置いていかれる。
放課後は……。そうだ。
神崎くんに学校を案内しなきゃ。
おい。
あなた

ごめんね。いたんだ。
学校、案内するね。

私が、案内している間は終始無言。
ぺちゃくちゃと話されるのも困るし、
これで十分。
あなた

ここが、保健室。
先生結構いないから注意。

本当は、ここで案内は終わりだけど……。
お気に入りの場所につれていってあげよう。
聞きたいこともあるし。
階段をどんどんのぼる。
着いた。ベストタイミング。
ここは……。
あなた

うん、屋上。
綺麗でしょ?帰宅部しか見れないの。

屋上には、夕焼けが広がる。
オレンジ色に染まった空に、
いくつか浮かぶ、紫色の雲。
影が長く伸びて、屋上の下は暗い。

この時間、皆は部活してるから
帰宅部しか見られないって事。
私は、この景色が好き。
……どこよりも。
……だな。
辺り1面オレンジ色に染められて、
神崎くんの顔がよく見えない。
無言で夕焼けを見つめている。
あなた

今日、なんで学級委員
引き受けてくれたの?

こちらを見て、ふっと
呆れたように笑う。
篠塚……だっけ?
アイツのせいでなんかお前が……。
ポリポリと頭をかく。
そうして困ったように、
困ってるように見えたから。
なんか、悲しそうだったから。

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