プリ小説

第12話

空き教室

「それで、なんで泣いてたの?」
「……………。」

今現在、笑顔の佐藤くんとほぼ半泣きの私、あなたは空き教室にいます。

というのもつい先刻、佐藤くんに泣いていたのが一瞬でバレた私は爽やかな笑顔で「せんぱーい、ちょっとあなたちゃん借りますねっ!」とか言う佐藤くんにズルズル引きずられ、空き教室まで拉致された。

拉致された。
だってさっき教室の内側から鍵閉めてるの見たし、よくよく見たら通常あるはずの小窓がないドアで閉められている。

考えれば考える程に身の危険を感じる場所だった。




「………………………」
「…………………………………」


長い沈黙の中、最初に沈黙を破ったのは佐藤くんだった。

「…まぁ、言いたくないなら言わなくてもいいけどね。でもまたそれが原因で泣いちゃったら俺やだ。」
いや、冷静に考えると根本的な原因は佐藤くんに辿り着くんだけど。
発端の理由が理由なので何も言えなかった。

「でもまた泣きたくなったら力になりたいからさ」
「佐藤くんさ」

少ししゃがれた声。
「佐藤くんって、佐藤くんからして2つ上の“高橋康太”って人、知ってる?」

「んーー…あ、あれか。ベースの人。確か生徒会も入ってた人だよね。えっと…役職は流石に覚えてないけど。」

佐藤くんは、少し考えてから思い出したように言った。

そう、その人。
それが私の元彼氏さん。


「…そっか。」
「その人がどうしたの?」
私は出来るだけの笑顔で

「ううん、なんでもない。
お疲れ様会始まっちゃうから、行こう?」

と答え、鍵を開けようとする。

「わっ…」


でも佐藤くんはそれを止めた。
鍵元にかけてあったはずの私の右手は、


一瞬で佐藤くんの口元にまで移動していた。

それから、右手を引っ張られた反動でバランス感覚を失った私の身体は全体重を佐藤くんに預けてしまっていた。


そう、簡単に言ってしまえば

私は今、佐藤くんに後ろから抱きしめられている。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

はむぷりん
はむぷりん
恋愛小説からホラーまで、広いジャンルで好きです。日本語不自由だけど精一杯頑張って小説更新していきたいと思ってるのでどうぞ暖かい目で見守ってくれると嬉しいです_(._.)_ それからコメント、いいね貰えるととても嬉しいです、お待ちしてます🤤
恋愛の作品もっと見る
公式作品もっと見る