第13話

宴です
77
2017/11/18 15:45

心臓がドキドキする。
顔周りはとても熱い。
手は多分、思い切り汗をかいている。

「さ…さと…く、ん……?」

つっかえながらも名前を呼ぶと、私を抱きしめる腕の力はより強まる。
体感的には2,3時間、実質3分程度の時間、ずっとこうしている。
その間佐藤くんは、ずっと無言だ。
背後から抱きしめられているので表情も見えず、正直気まず過ぎる。
息をするのも辛い。


私の心臓の音、聞こえてないかな…?


緊張しっぱなしの私の身体が開放されたのは、それから少ししてのことだった。

いきなり佐藤くんは
「よし、じゃあもう行こうか」
と言うなりすんなり放してくれた。

なんだか色々腑に落ちないけど、ただ
寿命が2年くらい縮んだ気がする。



でも、それとは裏腹に元気がでた気がする。




「しつれいしまーす、お疲れ様でーす」
「しっつれいしまーす!」

本日2度目の放送室挨拶。
佐藤くんはとても元気良かった


「あっ!来たー!二人とも!あなたちん、大丈夫?無理してない?」
「うん、大丈夫、ありがと。佐藤くん慰めてくれたしね。」
そうにこ、と笑うとゆめちゃんも安心してくれた。



「それじゃあ!皆揃ったので…球技祭お疲れ様でーーーす!!かんぱーい!!」
「えっ早い!!」
「まだジュースついでないですよ部長!」


いつもと全く変わらずぐだくだだった。






少し落ち着いた時、ススス…とゆめちゃんが私の方へ来る。

「あなたちん…やっぱさっきのって先輩関連…?」
ゆめちゃんに嘘はつけない。
「……うん、そう。吹っ切れたと思ったんだけどなぁ」
はは、と乾いた笑いをすると、ゆめちゃんは心配そうな顔をする。

「…大丈夫だよゆめちゃん。私、そんなメンタル弱くないし、今はもうどうしようも出来ないって分かってるから。…ほとほりが冷めるまでの辛抱だから。」

そこまでいうとゆめちゃんは私に思い切り抱きついた。


「ふぉおおおおおおぉぉおあなたちん私と結婚してーーーーーーーもういいよもう私と結婚しよ?マサチューセッツ州行こう?ハーバード大学目指そう?」

いや、無理がある。

「えっ部長そんな趣味だったんですか?!」
「お……応援してます…」

待って
真に受けないで?!



またてんやわんやしてきた………
もはやテンションが宴並みに絶頂になっていく。



「も、もう既に帰りたあぁい………」
「今夜は返さないぜ!!」

マジでやめてください。

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