終業式が終わり、待ちに待ったクリスマスライブ。
えっと、ライブは12時15分からだから、もうすぐだ。
会場は1年7組の教室で、教室から人が溢れて見える。特等席は狙えないかな……
黒板にタイムテーブルが書いてある。
佐藤くんが出るバンドは…あった。ラストから3番目。
「先輩、佐藤はラストにも出るんですよー!」
一緒に来てくれた部活の後輩ちゃんにそう言われて初めて知る。掛け持ちしてるんだ。
「いやぁ、掛け持ちっていうか2人しかいないんですけど…結構上手なんですよ」
「そうなんだ、楽しみだなぁ」
そんなこんなで最初のバンドの発表が始まる。
当然だけど、他のアーティストの曲をカバーして歌っていた。
クラスメイトのバンド組んでる男の子の言葉を思い出した。
『最近の高校生はコピーバンドばっかりなんだよな。オリジナル曲作ってるところ何処も無い。』
とか担任の先生に話していた。
担任の先生も音楽が大好きみたいで、うんうんと頷いていた。どうでもいいけど。
それでも結構上手な所が多くて盛り上がった。
こういう場所は初めてだったので、なんだから私、少し浮いてそうだな、と思った。
でもそれ以上に楽しい。
佐藤くんのバンドの順番だ。
佐藤くんはギターボーカルなので勿論センターに立っていた。
他のバンドメンバーが準備している中、佐藤くんは話し始める。
「えーー…はい。どうも、METHODでーーす!!!他メンバーが準備している間に曲紹介しますー、と言っても2曲だけなんだけどね。」
「最初の曲はKANA-B○ONで''ないものねだり''歌わせてもらいますー!みんな手拍子よろしくねー!」
キャーー!と、甲高い歓声。
ずっとビデオ撮るのに必死だったから気付かなかったけど、さっきより圧倒的に女子数が多い。
やっぱり人気なんだなぁ。
なんて考えていたら歌いはじめていた。
やだやだ。ちゃんと聴かなきゃ。
………なんだかキラキラして見える。今日の佐藤くん。
球技祭の時とおんなじだ。
ギターを弾いている時、弦を見た後に少し客席の方へ向く時の目が、こう、かっこいい。
なんだか少し色気がある。うん…って何考えてるの私。変態ですかなんですか。
痺れます。
「ありがとうございましたーーー」
METHODさんのバンドが終わり、次はなんだろうと思っていたら
担任の先生が出てきた。
「……………え?」
「伊藤先生、軽音部の副顧問ですよ」
「何それ初耳。」
3年間担任の先生だったのに、そんな、知らなかったよ…だからあの時クラスの男子とバンド語ってたんだ…。
という訳で次は顧問バンド。
ゆめちゃんに頼まれてないけどばっちり伊藤先生の事撮りました。
後でクラスLI○Eに上げておこう。
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すみません、作者です。
バンド名と曲名申し訳ございません。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!