第19話

番外編 -クリスマスライブ- 3
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2017/12/23 15:55



いよいよ最後の二人バンド。
着ぐるみを着た佐藤くんと、皆から「たくあん」と呼ばれている佐伯琢斗くんが登場した。

「ラスト鳳(おおとり)です、17ってバンド…こらこらこら座り、お座り!」

佐藤くんが話し始めた瞬間、カーテンを閉め出した佐伯くん。自由だなぁ。


「えー…もう、もういいや。
僕ら1曲歌わせていただきますー、じゃあほら、たくあん君よ、ギター持って。もう眩しくないからね。大丈夫だよー」


ぷちコントみたいだ。

このバンドは佐伯くんがギターで、佐藤くんはボーカル。とてもシンプルな音色だった。

佐伯くんのギターと、佐藤くんの歌と、観客の手拍子。音はそれだけ。


それでもなんだか、だからこそ聴きやすくて私はこういうの好きだ。

「いいねぇ。」
「でしょでしょうー!」

なんて後輩ちゃんと話しながら。





゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*



ライブが終わって、後輩ちゃんと一緒に佐藤くん達がいる控え室に行った。


「入って大丈夫なのかな…」
「大丈夫ですよー!てか他の子達も入ってるし。」


本当だ。すごい人だかりだった。
ほぼ全員が女の子で、
女の子達の目当てはやっぱり佐藤くんだった。


「やべぇですな…すごいモテモテじゃないですか」
「でも佐藤はモテないって言ってるんですよ。嫌味ですよね。」

「嫌味だねぇー」

「何陰口言ってんの」


佐藤くんがこっちに向かって来た。

「え…聞こえてたの?すごい地獄耳だね…」
「こわ」

「うるさいなぁ。耳が良いって言ってくれない?ついでに声も良いって言ってくれても良いんだよ?」

「うん、佐藤くんかっこよかったね。」
私は思ったことを口にする。

「先輩、あんまり調子乗らせないようにしてくださいね!?」

「わーいでしょでしょ、さすが俺!


…あ、そうだあなたちゃん」

「なあに」


「クッキー、美味しかった。ありがと」

また作って。と頭を撫でられる。


心臓が跳ね上がる。
顔、多分真っ赤だよね。

いや仕方ない、よね!


「し…仕方ないなぁ。今度はブラウニーケーキを作ってやろう。」


…ありがとね。





今日は嬉しいことがたくさんありました


ちょっと早いけど、


Merry Christmas!!

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