やだ。やだやだやだやだやだやだやだ。
「もう…、忘れたいのに、会いたくないのに…,」
「あなたちゃん…あなたちゃん!!!…ね?向こう、行こう?」
あっちは気付いてないから。
と、ゆめちゃんは私の手を引いて先輩と逆方向へ向かって行く。
なんで。今日はなんで忘れようとしたのに、
忘れかけていたのにこう、先輩がそんなに出てくるんだろう。
まるで呪いだ。
「悲しいね、ずっと好きだったのに、好きあってたのに少し拗れるだけで呪いみたいになっちゃうんだね。」
「…そう、だねぇ」
ゆめちゃんも心当たりがあるのか、俯いてそう言った。
「今日はすぐ帰って暖かくして寝よう?そうしよう?」
「うん、うん…ごめんね、ゆめちゃん」
今日2回目の涙を流した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!