「大丈夫?」って、今 誰かそう言った?
ほら、また聞こえる。
「あなたちゃん」って。
ユズリンだったらいいのに。
けどこれは幻聴。
私の幻。
現実と夢の違いもあやふやな、私はユズリンと入れ替わりたい。
幻聴じゃない?
美香ちゃんだったんだ。
私は泣いたせいで真っ赤に腫れてる顔を見られたくなかった。
だから顔を伏せた。
美香ちゃんって案外天然で抜けてるんだね。
小説のキャラクターがこの小説について言っちゃアウトだよ。
ユズリンだったかも!
そりゃあユズリンは自分で買った青い靴がお気に入りだから。
美香ちゃんありがとう!
私、なにがあってもユズリンに会いたい。
一目その顔を見てみたい。
できれば、私のこのボサボサの髪を見てもらいたい。
ありったけの力を使って走るんだ。
ユズリンに会うため。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。