第16話

会いたい、親友に
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2017/11/13 08:02
「大丈夫?」って、今 誰かそう言った?
ほら、また聞こえる。
「あなたちゃん」って。
あなた

ユズリン?

ユズリンだったらいいのに。

けどこれは幻聴。
私の幻。
現実と夢の違いもあやふやな、私はユズリンと入れ替わりたい。
吉松美香
あなたちゃん!
あなた

え?

幻聴じゃない?
美香ちゃんだったんだ。
あなた

どうしてここに?

吉松美香
お使い。
さっきも会ったよね?
あなた

そう、だっけ?

私は泣いたせいで真っ赤に腫れてる顔を見られたくなかった。
だから顔を伏せた。
吉松美香
ほんとに大丈夫?
何が会ったの?
あなた

…ユズリンが。

吉松美香
ユズリン?
あなた

うん。
多分、全て幻だけど。

吉松美香
幻?
言っとくけど第2回プリコンに出す作品が
“最初から最後まで幻で、主人公は超おばかでしたー!”
では終われないから。
それはあり得ないよ!
あなた

…あは。そっか。

美香ちゃんって案外天然で抜けてるんだね。
小説のキャラクターがこの小説について言っちゃアウトだよ。
吉松美香
そういえば、あそこにいる女の子。
私達と同い年くらいだと思うけど、知ってる?
あなた

どこー?
知らないと思ーう。

吉松美香
うちの学校の子じゃないと思うんだよね。
ほら、あの子だよ。
あなた

え?

吉松美香
見えなくなっちゃう!
あなた

どこどこ!?
わかんない!!

吉松美香
ふわふわの髪の、オシャレな!ほらほら!!
あなた

??

吉松美香
あー!行っちゃったよ!
あのいつも見かける会社員と一緒いる子。
あなた

ユズリンだったかも!
あなた

どんな子だった?

吉松美香
えー?
んーと、黄色いワンピースに、黄色いカチューシャで…。
あなた

ねぇ、その子 青い靴?

吉松美香
そうそう!なんでわかった?
そりゃあユズリンは自分で買った青い靴がお気に入りだから。
あなた

私、その子のこと追いかけてくる。

吉松美香
うん。
頑張って!
あなた

ありがとう

美香ちゃんありがとう!




私、なにがあってもユズリンに会いたい。

一目その顔を見てみたい。

できれば、私のこのボサボサの髪を見てもらいたい。



























ありったけの力を使って走るんだ。
ユズリンに会うため。

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