頭がぼうっとする。
なんていうか…。
熱が出た時みたいに。
おでこに手をあてる。
きっと突然走りまくったからだ。
薄着で。
バッグから上着を出す。
着る元気もない。
けど走る。
ユズリンに会いたい。
そのために走るんだ。
あぁ。
こんなに頑張ったのに。
もう本当にダメ。
ユズリン。
私はその場に倒れた。
息が荒い。
止まっちゃいけない。
けど無理。
どこ?
変態ストーカー野郎その名はサラリーマン!
どういうこと?
小さな声しか出ない。
きっと気づいてもらえない。
2人はどこで喋ってるの?
こいつ、絶対国語の成績悪かったな。
同じことを何度もなんども…
ジャリ
どんどんこっちに来てる?
もうくる!?
私の姿は…ベンチに隠れてちょうど見えないかな。
私の目に、青い靴が見えた。
そして、次に黄色いワンピースの裾が見えた。
そのあと、女の子の姿が見えた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!