第5話

幸せ…
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2017/11/09 11:46
木枯らしが吹いている中、私たちは飽きもせず中庭でお昼を食べていた。
そこまでしてこの中庭で食べるのに意味はあるのか、と聞かれたら、何と言えば良いのだろう。
特に意味なんて物はないが、お昼頃になると足が無意識に中庭に向かっている。
まあ、習慣ってやつだ。
この桜の木の葉も、もうすぐ無くなってしまいそうだった。
今日はこんなに風が強いから、もっと早く無くなってしまうかも…
私がそんな思いを巡らせている間も、ルリは隣でぼーっと空を見上げていた。
私もそれにならって空を見上げる。
強い風のお陰で、雲1つない晴天だ。
だが、空を見上げるルリの顔は、どこか浮かない顔をしていた。
何かあったのだろうか、そう思った私は話を聞こうかと手を伸ばそうとしたが、伸ばし掛けた手を引っ込めた。
確か、前も同じようなことをしてルリにはぐらかされたような気がする。
ということは、
(今は話を聞かない方が良いのだろうか……でもほっとけない……そうだ!)
私は持ってきた鞄を漁る。
“目当てのもの”を見つけるために。

「…あなたちゃん?」
探すのに手間取っていたからだろうか。
いつのまにかルリが訝しげにこちらを見ていた。
(!あったっ!)
探しだした私は、“それ”をルリの首に掛けた。
シャラリ…とそれ・・・ー瑠璃色のクローバーが付いたネックレスーが首元で揺れた。
突然のことに着いていけず、呆然としているルリの前で、私もネックレスを付ける。
「最近ルリ元気ないからさ、元気出してもらおうと思って。この前お店の前通った時に、色ちがいで売ってたんだ」
そう言って私は首に掛けたネックレスを持ち上げる。
私のネックレスには、ルリのものと同じクローバー。
でも、瑠璃色ではなく淡い青色のものが付いていた。
やっと状況に着いてこれたルリが、あわあわした様子で「お金…」と心配そうに言う。
「良いって良いって!親友の証!」
ね?と言ってルリの手を取る。
心配そうだったルリの顔が、一気に嬉しさで染まる。
「うんっ!」
手を握り返してくれたルリの姿に、私の頬も自然と緩む。
繋いだ手は外にいたせいで冷たかったけど、とても暖かく感じた。
でも













ルリと手を繋いだのは、それが最後だった。

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