“ルリが自殺した”
あの事件から一ヶ月経った今でも、その事実を受け止められないでいる私は、独り歩みを進めていた。
目指す場所はルリの家。
どう考えてもあのルリの自殺は不可解だった。
なにか理由があるはずだ。
その手がかりを探すため、思い立った場所がルリの家だった。
赤いレンガ作りの家が見えてきた。
ルリの名字がかかれている表札を確認してインターホンを鳴らす。
『はい』
「あの、すみません。あなたです」
カチャッと音がしてドアが開く。
ドアの先には少しやつれた様子のルリのお母さんがいた。
「すみません、突然」
「いいのよ、ほら、入って」
案内されるままルリのお仏壇の前に座る。
手を合わせた後、飾られているルリの写真を見た。
ルリは写真を撮るのが苦手なので、写真を撮るとどうしても仏頂面になってしまう。
なので、お仏壇に飾られている写真の中のルリも、仏頂面だ。
ルリのお母さんに許可を得てから、ルリの部屋へ入る。何もいじっていないので、ルリが過ごしていた時から変わっていないそうだ。
ぐるりと部屋のなかを見回すと、1つ気になったところがあった。
たくさんの本が並んでいる本棚に、1つだけ離れた場所に置かれている本。
そっと手に取ってみると、それは日記のようだった。
ペラリとページをめくっていくと、そこには私の想像を絶する内容が書かれていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。