第12話

「誰とも知れない僕で」
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2017/11/09 11:44
店内が静寂に満ちる。

鳴り止まない心臓。返事を待つ間が永遠にも感じて終わらないように思えたが、それは奈倉さんの口が開かれるまでだった。


「……こんな、誰とも知れない僕でいいなら……よろしくお願いします」


奈倉さんはぺこりと頭を下げた。

よろしく?オネガイシマス?

……OKってこと!?!?

「やったねあなたちゃん!!」

「おめでとー!」

さやちゃんと彩香が祝福のハグをしてきて、私も笑おうとしたが驚きの方が強かった。

「え?えっ?ほんとに?」

「本当ですよ」

にこ、と奈倉さんが優しく微笑む。

“本当にOKされたんだ”と実感して、私は嬉しさでいっぱいになった。

やったー!!え、どうしよう嬉しすぎる!

私、一生分の運を使い切ったんじゃない……!?

「……でも、あれだね」

「だねー」

「?どしたの二人とも」

「「いや……」」

明らかに歯切れの悪い否定。嘘なのは明白だった。

しかし、理由が私にわかるわけがない。気になるが、問い詰めるのも気が引ける。

まぁ大したことじゃないでしょ!

「そっか!」

私は満面の笑みでそう言った。

二人がぎこちなく笑い、何か意思疎通をするかのように目を合わせた。

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