第28話

「ないも同然なんだよ」
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2017/11/17 11:11
夜が明け――月曜日。

大毅は部活後、ファリマの自動ドアを潜った。

中にあなたの姿はない。当たり前だ、大毅自ら「行くな」と言ったのだから。

「いらっしゃいま……せ」

綾斗が一瞬驚いたような顔をするが、すぐに営業スマイルに変わった。

大毅はスタスタと歩いて、奥のレジに立つ綾斗と向かい合った。

「お前、昨日あなたとデートの予定だったんだってな」

大毅が睨むように綾斗を見上げる。

綾斗は予想外だったのか、驚きを隠せていなかった。

「しかもすっぽかした。あいつ1時まで待ってたんだぞ。一人で、泣きそうになりながら」

「……申し訳ないと思ってる。だけど、昨日は」

「『だけど』じゃねぇ。お前にあいつの不安がわかるかよ。来るかもわからずに一人で待ち続けてたあいつの不安が」

遮って大毅は言った。紡(つむ)がれるはずだった綾斗の言葉が喉の奥に引っ込み、消える。

「両想いでも、『コンビニ店員』じゃあいつとの繋がりなんか幼馴染み(俺)に比べたらないも同然なんだよ」

綾斗が息を詰まらせる。突きつけられた現実に、顔を俯かせた。

――ここまで言っても言い返さねぇのかよ。

大毅は失望し、ファリマの出口の自動ドアへ足を進めた。



その手を、誰かが引き止めた。

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