第33話

エピローグ その1 ③
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2017/11/28 11:18
「……しないなら、僕からいくよ」

両の手首を一度に掴まれて、顔から剥がされると同時にぐいっと引き寄せられた。

唇に、綾斗さんのそれが重ねられた。

触れるだけのキス。かと思えば、角度を変えて再び強く重ねられた。繰り返される甘い口付けに、酸素が少しずつ足りなくなっていく。

何度目かわからないキスを終えて、ようやく綾斗さんはキスをやめてくれた。

「……上書き。大毅くんにあなたちゃんの初めては取られちゃったけど、これからは僕とだけ、ね」

至近距離で、綾斗さんが微笑んだ。

私はドキッとして、更に「ある期待」を抱いて胸がドキドキし始めた。

それ、って……。

「ヤキモチ?」

「……はい。あの時は何も言えなかったけど、妬いてました」

――か、かわいい……!ちょっと照れて目逸らすのかわいすぎる!てか本当にヤキモチだったんだ嬉しい……!!

「……ずっと自信なかった。僕があなたちゃんの彼氏でいていいのかなって。あなたちゃんはまだ高校一年生でいろんな人と出会うし、すごくいい人ともきっと会う。なのに縛っていいのか……迷ってたんだ」

ぽつりぽつりと綾斗さんが言った。

私は気持ちを切り替え、黙ってその話に耳を傾けた。

「でも、間違ってた。好きなら迷わずに言うべきだったんだよね。あなたちゃんは僕のだって、絶対譲らないって」

綾斗さんはそっと私の頬を両手で包んで、こつんと額を合わせてきた。


「これからも、僕の彼女でいてください」


……あー、言いたいこといっぱいあるはずなのに……ダメだ、一つも浮かばない。

――しょうがないから、全部放置して笑おう。

私は心の底から沸き上がる嬉しさを顔いっぱいに弾けさせた。





「こちらこそ、よろしくお願いします!」

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