キーンコーンカーンコーン___
「矢宵ー、元気ないよ?どうしたの?」
チャイムがなって私の席に真っ先に来たのはやっぱり麗奈.
「いやー、なんでもないよー?」
って本当はあるんだけどー.
何てこと考えながら返事を返して、少し黒板に目を向けた.
「なんでもなくないよねー?」
少し私を疑いの目で見ながら言ってたから、嘘ってばれたね.
「今日の時間割りってさ、七時間...___え?」
なんで私が途中で話を止めたかって?
そりゃ、誰でもびっくりすることくらいあるでしょ.
「なに?なんでお前黙ってんの?」
いつきたのかな.
麗奈の隣に幼馴染がたってる.
「いや、いきなり居たからびっくりしちゃって」
彼の名前は伊藤令.
小学校の時から結構仲良し.
成績はクラスと学年の両方でトップ.
運動できるし、めちゃくちゃモテるし、クラスのムードメーカー的な存在.
そのくせ、可愛い女子皆振ってるし.
しかも有名な先輩のことも振ってるんだよ?!
こっちからしたら驚きしかないよ.
「相変わらずビビりだなー」
「うるさいなー」
ケラッと笑いながら言ってくる令に私も笑いながら返事を返した.
「はい、そこいちゃつかなーい」
痺れを切らしたのか、麗奈が私と令の間に割って入ってきた.
あ、そうそう、いい忘れてたけど、麗奈は令のこと好きなんだよねー.
だから、私と令が話してるときの視線が痛い!!
「いちゃついてねぇよ」
笑いながら会話をする二人を目の前に私はもう一度黒板を見た.
今日の時間割は『一時間目歴史』、『二時間目数学』、『三時間目国語』、『四時間目体育』、『五時間目科学』.
特別時間割なのかな?
もう本当に分かんない.
「てかさー、今日時間割可笑しくね?」
「それ!私も考えてたの!」
令が黒板を見ながら言うもんだから激しく同意しちゃった.
「確かに、今日は普通通りの時間割のはず、なんでだろ」
麗奈も同意してくれたから安心した.
「先生の会議か?でもこんなにいきなり決まるわけねぇよな」
「ほんと、それだよ.私が言おうとしてたのもそのことだったんだよね」
3人で首をかしげながらふと思った.
「チャイムがならない...」
チャイムがなって10分以上立ってるのにチャイムがならない.何故?
__バァァン__
私たちは何の音か分からなかった.
だって、微かに聞こえた音だもん.
でも、令にも麗奈にもその音が聞こえたみたい.
一番に教室から駆け出したのは令だった.
「令!行ったら危ないよ!」
止めてるのに止まらないのが令の悪いところ.
「まって!令くん!」
そして、令にひょこひょこ付いていくのが麗奈の悪いところ.
「二人とも待ってよ!」
そしてまた、二人が行くと私も行きたくなるのが私のいけないところ.
クラスはまだやかましい.
私たちのクラスだけトイレと階段を挟んでるからこんな煩いくらいわーわー言ってる人に音なんて聞こえやしない.
私たちは1組.
音が聞こえたのは4組.
息を切らしながら除いてみれば私たちは声無き悲鳴をあげた.
「なにこれ...」
みんな倒れてる.
そこは血の海と化している.
そしてその教室には一人の男が立っている.
白い覆面を被り、不適な笑みを浮かべている.
私たちは走った.
流石に怖いでしょ?こんなもの見たら.
令でさえもビビってるんだから.
でも、逃げるのが遅かった.
一番足の早い令は足を撃たれた.
麗奈は腕を.
私は肩を.
これは、痛くて走れる状況じゃぁないよね.
近寄ってくる覆面男はまだ笑っていた.
正確には覆面が笑っているような形をしてた.
「矢宵!お前どこ行くんだよ!」
私は咄嗟に走り出した.
いや、このままクラスに来たらやばいじゃん?
だから、せめて皆だけは守る.
って言う考えも甘かった.
「なにこれ...」
皆床に倒れてる.
全員体のどこかしらは撃たれている.
そして、教室には異様な臭いが立ちこめていた.
それが薬品だと気づいたのは私がその場に倒れて約3秒後の事だった.
「しまった...」
そこで私の意識はシャットダウンした.
このゲームはそれを合図にしたかのように始まった_.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。