ーピコーンッ。
スマホが鳴る。
んー?
『あなた先輩お疲れ様ですっ!
追加させていただきました( _ _)』
秀也くんからだ。
へぇ〜、顔文字とか使うんだ〜っ…。
『お疲れ様〜
今日はありがとね!』
って、返信早すぎ?
ーピコーン。
また着信音。
って、秀也くんじゃんっ。
早いなぁ〜。
『いえいえ!
あ、そうだ、お礼の話なんですけど…』
お、本題。
『決まったー?』
…なんか強制してるみたい。
無理矢理お礼とか言っちゃったから、もしかして迷惑だったかなぁ…。
私の悪いとこ。
頑固+押し付けがましい。
はぁ、こーゆーとこ直さなきゃなぁ…。
そんなことを考えていると、スマホが鳴った。
『今度の日曜日、空いてませんか??』
…ん?
日曜日…?
休日じゃんっ!!
え、空いてるっちゃ空いてるけど…。
『空いてるよ〜』
送信してからふと思う。
あれ?
それってもしかして…出かけようとか言い出す感じ!?
男子と出かけるなんてデートじゃん!
好きな人じゃなくてもデートじゃん!
やっば、空いてるって打っちゃった…。
トーク画面に目を移すと既読が付いていた。
読むのはやっ!
『じゃあ、買い物に付き合ってくれませんか?』
うっ…予想当たった!
どうしよ…。
断る?
でも空いてるのに断るなんて、失礼だよね…?
私が既読スルーをしたまま返信に迷ってると、それに気づいたのか秀也くんから新たなメッセージが。
『オレ、妹がいて、今度誕生日なんです。
何かプレゼントあげたいなーと思ってるんですけど、何がいいかわかんなくて…😓
一緒に選んでいただけないかなーと…🙇』
あぁ、なるほど!
そっか、それなら何も問題ナシ!
…って、よくないよ!!
中島先輩に…見られたら…。
こんな私でも、一応恋はしてる。
それも、生意気なことに叶わない恋。
中島慶太(なかじまけいた)先輩。
私がマネージャーをしてる、バスケ部の先輩。
まぁ、もうすぐ、夏には引退しちゃうけど。
それに、先輩には彼女がいて。
それでも、やっぱり好きなものは好きで…。
男子と2人で出かけてるとこ、見られるのはやっぱり嫌で。
でも先輩は彼女のこと大好きで…私には勝ち目なんかなくて…。
って、ネガティブ思考の悪循環…。
あーぁ、先輩のこと忘れられるくらい魅力的な先輩、現れないかな!
あ、やば、返信するの忘れてた…。
またスマホに視線を落とす。
『ダメですか?』
…さらにメッセージ来てた…。
って、そんなこと言われたらダメなんて言えなくなっちゃうじゃんっ!!
「はぁ…。」
まぁ、正直嫌ではないよ?
かと言って「わー、めっちゃ嬉しい!!」とはならないけど。
しゃーない、お礼だ。
『いいよ、日曜日ね〜』
そのあと色々話した結果、10時に学校近くの駅待ち合わせ。
妹ちゃんへのプレゼント、私だって分かんない!
私の価値観でいいのだろうか…。
男子と二人で…って、少し緊張する…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。