部室のドアを開け、真白ちゃんと中に入る。
「ねぇ、もしかして…」
神崎、ってさぁ…
「秀也くんの親戚?」
神崎、なんて苗字、そうそういない。
珍しいよね?
かと言って、秀也くんと真白ちゃん、同級生だし…
「え…あなた先輩、なんで知ってるんですか!?」
お?
「うん、まぁ、ちょっと色々あり…」
「秀也は私の兄です!
あ、私達双子なんですよ。」
「あ、そーなのね!?」
まさか、双子だったとは…
ってか、兄弟多っ!
一番上が神崎先生、秀也くんと真白ちゃんに中2の妹ちゃん…
「何人兄弟なの?」
「あ、6人です。」
まだ2人いた!
「6人…って凄いね…」
「よく言われますっ…」
苦笑いで答える真白ちゃん。
真白ちゃん、いい。
私と喋りながらでも手は止まらない。
ちゃんと片付けてくれてる。
「真白ちゃんって、しっかりしてるね。」
「えっ、そーですか…?
そう言われると嬉しいですっ」
「やっぱり、大人数の中で育つとそーなるのかなぁー?」
秀也くんもハキハキしてるし…。
「そうかもしれませんねっ…。
私の下に、中2の妹と、小6と小3の弟がいるので…。」
「割と年離れてるんだね〜
そりゃしっかりするわぁ〜」
って、なんか私近所のおばさんみたい?
「一番上は誰だか分かります?」
真白ちゃんがこっちを見て聞く。
「うんっ、先生でしょ?
秀也くんに教えてもらった。」
「え、秀にぃと仲いいんですかっ!」
仲いい…と言われればそうなのか…?
「あ、じゃぁ昨日一緒に出かけたって言うのも…?」
う…。
秀也くん、家族に話しちゃってるんかいっ!
「う、うん、まぁ…。」
私がそう言うと、真白ちゃんが目を輝かせた。
「?」
「じゃあ、あれもあなた先輩の事なんだぁ…」
「??」
何を言ってるのか、さっぱり分からない。
「あ、昨日は兄の買い物に付き合っていただきありがとうございましたっ!」
ペコっとお辞儀。
律儀〜っ!
「んーん、全然いいのいいのっ!」
ほんとに、しっかりしてる。
「あ、そろそろ…」
時計を見ると、7時半。
部活終了時間。
体育館に戻らないと。
「ごめんね?
こんな遅くまで付き合わせちゃって…」
お陰でスッキリ。
「大丈夫ですっ、家近いので…」
あ、そーいえば昨日も秀也くん、既に駅にいたなぁ。
電車通学じゃないのかな?
「真白ちゃんも一緒に行こ?」
「え、いいんですか?」
「うんっ!」
そして2人で体育館に向かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。