第15話

体育館
6,512
2017/11/07 01:07
ーガラガラッ


「失礼しまーすっ」


体育館の扉を開けて入る。


「あ、あなたちゃんっ、こっちこっち!」


弥生先輩に呼ばれる。


「あれ?後ろの子は?」


弥生先輩が真白ちゃんを指す。


「あ、神崎真白と言いますっ!

よろしくお願いしますっ」


深々とお辞儀。


「途中でみんな帰したんですけど、真白ちゃんだけ残ってくれて…」


「そーなんだぁ…

あ、そうそう、今日コーチ来ててさ、ちょっと長引きそうなんだっ」


「えっ」


そんなの聞いてないよー?


「もー、コーチも急だよね…」


「ですね…

1年生も残ってるんですか?」


そーいや部長が今週の土曜に練習試合入れるとか言ってたっけ…


「んー、帰ってもいいとは言ったんだけど、それでも半分くらいは残ってるよ。」


「へぇ…」


すごい、みんなやる気だぁ…。


「まぁ、見てるだけなんだけど、やっぱり先輩たちの姿見るのって大事なんだろーね。」


どんな人が残ってるんだろう、と1年生の方に目を向ける。


「あ。」


その中に、見覚えのある顔が。


秀也くん…。


バスケ部希望だったんだ…。


真剣な横顔。


その姿にキュンとしてしまうのは必然?


誰でも同じ?


あれ?


「ーそこは涼にパス、少し攻めてけ!」


コーチの叫ぶ声。


「はいっ!」


…中島先輩…。


あぁ、カッコいいな…


先輩がプレーしてる姿、ホントに好き。





「「「お疲れ様でしたーっ!!!」」」


8時半、やっと終了。


結局、真白ちゃんも最後まで残ってくれて、モップがけまでしてくれちゃった。


もう正式入部したみたいな感じ。


「あなたせーんぱいっ!」


「え、わぁ、秀也くんっ。」


ステージの上に日誌を置いて書いていると、後ろから声をかけられた。


「お疲れ様ですっ!」


「お疲れ様〜。

秀也くんがバスケやってたなんて知らなかった。」


「オレ、一応中学ではキャプテンだったんすよ?」


「え、凄いじゃんっ!」


中学は文化部だった私。


運動部の応援とか行ったことも無かったから全然知らなかった…。


そんなに上手いなら見てみたい。


「秀にぃ、私友達と帰るから!」


「はいよー。」


「「お疲れ様でしたーっ」」


次々に1年生、部員が帰っていく。


「んじゃあ、あとよろしくね?」


「はいっ、お疲れ様でした!」


弥生先輩も松尾先輩と一緒に帰っていった。


しーんと、静まり返る体育館。


一人で残るのは久しぶり過ぎてちょっと怖い。


いつもは部長が残っててくれるけど、今日はコーチと話し合いだって。


ーガタンッ


びくっ、


え、なにっ…


ドアの方で音した…よね?


ドクドクドクドクと鼓動が速くなり、変な緊張感が漂う。


…誰か…いるの?


怖い…。


そして人影がドアの隙間から見えた。


「先輩っ!」


「わぁぁぁぁぁぁっ!?!?」


私はその場にしゃがみ込んだ。


え…?


「あなた先輩?」


「わ、…なんだ、秀也くんか…」


こ、怖かった…誰か知らない人かと思った…。


「あれ?なんでまだいるの?」


「あ、先輩と一緒に帰ろうと思って。」


ニコッと笑う秀也くん。


あー、なるほどね…。


…。


って、


「え!?」

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