第22話

何回も
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2017/11/10 13:02
「あ、終わったー?」


体育館に入ると部員達はランニングをしていた。


「はいっ」


だいぶ時間かかっちゃった…。


夜の肝試しのための道具も運ばなきゃいけなかったからね。


ていうか、この部活どれだけ好きなのよ、肝試し。


毎年、このゴールデンウィーク合宿と夏休みの合宿、そして春休み中の合宿をしてるけど、毎回やるんだよね〜…。


驚かすのは立候補制、いなければくじ引き。


ここはマネージャーも平等に。


去年はくじ引きの結果、オバケ役だったんだよね〜。


オバケもオバケで怖いよ?


ひとりで待ってなきゃいけないんだから。


「じゃぁ、あなたちゃん、タイムマネジメントよろしく。

真白ちゃんはドリンクの準備。」


「「はいっ」」


今やってるのはコート外ランニングだから次は〜…


ストレッチ。


ピーッ。


タイマーが0を示したと同時に私は笛を鳴らす。


そして部員達は徐々に速度を緩めた。


ストレッチは花村先輩が中心となって進めてくれる。


「あ、」


忘れてた。


アイシングスプレー、カバンに入れっぱなし。


宿じゃんっ!


また取りに行かなきゃー…。


まぁ、ストレッチの時間ならいいかな…。


「花村先輩、アイシングスプレー取ってきますっ」


「りょーかいっ」


一応、1本はあるんだけど、予備は必要。


それに、合宿中。


大量に買っといた。





その大量のアイシングスプレーを抱えてまた体育館に戻る。


カゴとか持っときゃよかった…。


体育館に入ると、ほんの少し、3分くらいのの休憩に入っていた。


「あっ!」


簡易ベンチの上にスプレーを置いたら、一つがコロコロと転がってしまった。


私が拾おうとすると、スっと誰かの手が伸びてきて、スプレーを拾う。


「あ、」


顔を上げると、スプレーを手渡してくれる秀也くん。


また、助けてもらっちゃった。


「ありがと…」


「いえいえっ」


ニコッと笑う秀也くん。


その笑顔にドキッとする。


もう、何回秀也くんにドキッとさせられたんだろう。


近くにいるだけで苦しいよ。


秀也くんの優しさに触れるだけで、胸が痛くなる。


もう、3日間ずっと一緒にいたら心臓もたないかも…。

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