「じゃーこれでミーティング終わります。
お疲れ様でした。」
「「「おつかれしたーっ」」」
午後8時、全練習を終え、ミーティングも終わり。
「それじゃー外に移動してくださーい」
「おっしゃー!
やっと遊べるっ!」
「楽しみーっ」
みんなが会議室をゾロゾロと出ていく。
「あ、真白ちゃんっ!
消すのちょっと待って!」
ホワイトボードに書かれた反省点や課題。
ボードイレーザーを手に持っている真白ちゃんにストップをかける。
私はスマホを取り出し、ホワイトボードの写真を撮っておく。
「あ、すみませんっ」
「んーん、大丈夫だよっ。
消してくれてありがとっ!」
さてと、これから肝試し…。
「んじゃ、まず立候補者!」
「…。」
しーん。
誰も手を挙げない。
「しゃーない、くじ引きだなーっ…」
バスケ部総勢22人+マネージャー3人。
お化け役は毎年7人。
あとの人はこれまたくじ引きで二人ずつペアになってお決まりのコースを回る。
3年生から順に引いていく。
「今年こそは頼みます神様っ!!!」
「やったオレ無しーっ!」
「げ、オバケっ」
くじ引きだけで大盛り上がり。
「次ー、2年っ。」
割り箸の先端が赤くなってたらオバケ。
山下先生が懐中電灯で手元を照らしてくれている。
「よっし、オバケじゃない!」
優雨がピースを私の顔の前に突き出してくる。
「ちょ、邪魔っ」
去年オバケやったので今年は回らせてくださいっ!
心の中でそう願いながらくじを引く。
「あっ。」
「ぷっ…」
先生が吹き出す。
私が引いた割り箸の先は赤く塗られていた。
「あなた…今年もじゃん。」
優雨が哀れむような目をして言ってくる。
「う、うるさいっ」
もう、なんで私ってくじ運悪いのっ!!
「1ねーんっ」
はぁ…
結果、花村先輩、夏木先輩、桃井くん、海堂くん、田中くん、斉藤くん、私がオバケ役。
マネージャーの中でただ一人、2年生の中でただ一人…。
もうっ…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。