「え!?」
な、な、今なんて!?
てか、なんで!?
「先輩が好きって言ってくれたら、残っててあげます。」
「は、はい?」
…。
言葉を失うんですけども…。
「あ、じゃぁ、行きますね?」
スクっと立ち上がる秀也くん。
「わ、え、ちょ!」
ぎゅっと、秀也くんの手を握った。
き、緊張するよ…。
ドクン、ドクンと私の鼓動が速く大きく鳴っている。
「好き。
私…秀也くんのことが、好き…だよ。」
かぁぁっ。
顔が熱くなる。
体温上がってる。
熱あるかもってくらい体が熱い。
告白…なんて、生まれて初めて。
「…よく出来ましたっ。」
秀也くんは私の横に座った。
「…秀也くん、なんか照れてる?」
私が好きって言ってから、こっちを見てくれない。
「…だ、だって!
…ウソでも、好きって言われりゃ照れますよ。」
秀也くんの言葉に喉の奥が詰まる。
気持ち悪い心臓の鼓動。
ウソ、って言った?
「…秀也くん、私、ウソなんかついてないよ。」
私の告白が、ウソだって?
バカにしないでよ。
「え…?」
「秀也くんに言われたから好きって言ったんじゃない。
私は、ちゃんと…
秀也くんが、好き。」
真っ直ぐ、秀也くんを見つめて。
「え、え?」
戸惑いを見せる秀也くん。
「じゃぁ、あなた先輩が中島先輩を好きっていうのは…」
「それ昔の話!
部員はまだそー思ってるらしいけど…」
もう、秀也くんにそんなこと勝手に言わないでよね!
誰が言ったか知らないけどさぁ。
「…ふふっ」
秀也くんが両手で顔を覆って笑う。
「な、何?」
「先輩、それって両想いってこと?」
ニヤニヤしながら言う秀也くん。
コイツ〜っ。
「んー、まだ片想いかなー?
秀也くんから好きって言われてないし。」
「前言いましたよね?」
「ううん、それ“もしオレが好きって言ったらどーしますか”だったもん。
“もし”の話なんでしょ?」
私だけに言わせるなんてずるいじゃん。
仕返しだよ。
「ふっ…先輩、ホントにイジワルですねっ。」
「…前から知ってたでしょ?」
「はい。
でも、オレそんなあなた先輩が好きですよ。」
「!」
ドクドクドクドクッ。
分かってても、好きって言ってもらうと胸が高鳴る。
「…不意打ち禁止!
もう1回!」
「え、なんでですか!」
「だって、なんか、流れで言ったじゃんっ!」
なんて、そんなのは後付された理由に過ぎなくて。
ホントはただ、もう1回言ってほしいだけ。
「…好きです、あなた先輩。」
っ…。
ぎゅーっと胸が痛くなる。
あー、今すぐ抱きつきたい。
そんな衝動に駆られる。
「ふふっ」
嬉しい。
同じ気持ちでいられたこと。
相手が秀也くんだってこと。
「私も好きだよっ」
好きと言えること。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。